名門校卒のプロ内定者続々…全国で無名の「悔しい記憶」から変貌、J熱視線注いだタレント集団
コロナ禍に見舞われ夏の全国大会が中止に…20年度の代が味わった悔しさ
ほかにも明治大学でナンバー10を背負い、大学ナンバーワンアタッカーと称される中村草太はJ1のビッグクラブが激しい争奪戦を繰り広げたなかで、サンフレッチェ広島入りが内定。さらに、日本大学の熊倉弘達と熊倉弘貴の「熊倉ツインズ」は兄弟揃ってプロ入りが内定した。背番号10の冷静沈着な判断力とパスセンスが売りのボランチである兄・弘貴は横浜FCへ。キレのあるドリブルとスピードあふれる抜け出しが魅力のFWである弟・弘達は甲府へ進む。 「お互い何を考えているか分かるので、全体のバランスを見ながら2人の距離感を意識しています」と弘貴が語るように、常に息の合ったプレーでホットラインを形成し、夏の総理大臣杯ではチームをベスト8に導いている。 ちなみにこの年代の1学年下には、高卒でV・ファーレン長崎に加入し、3年目の今年は左ウイングとして欠かせない存在となっている笠柳翼、同じく高卒でザスパ群馬に加入し、今年はモンテディオ山形で右サイドバックとして活躍する岡本一真もいる。 だが、2014年度、17年度と比べてこの20年度の代の選手はあまり知られていないのは、彼らが全国に出ていない代であることに起因している。 高校選手権で2014年度のチームは準優勝、17年度は初優勝を成し遂げている。しかし、20年度は新型コロナウイルス感染症の拡大により、インターハイが中止となり、プリンスリーグも1回総当たりの変則日程となった。そして唯一の全国大会となった選手権では、群馬県予選準々決勝でライバル桐生第一に0-1の敗戦。注目の年代は道半ばでひっそりと姿を消したのだった。 「本当に悔しい記憶しかありません。思うようにサッカーができなかったのもそうですし、僕自身もサッカーに対する向き合い方で苦しんでいた時期でした。でも、あの時の経験があったからこそ頑張れたし、みんな成長しているのだと思います」 稲村がこう振り返ったように、自らの力で「注目の世代」へと変えていった彼らは今、成長過程の真っ只中にいる。稲村を筆頭に、ここからさらなる飛躍を遂げる「2020年タイガー軍団」の動向にぜひ注目をしてほしい。
FOOTBALL ZONE編集部