「10年後には給料は倍に、いや4倍に!」今と何が違う所得倍増計画 -1960年【TBSアーカイブ秘録】
■結果は「吉!」と出た じつは池田内閣が「所得倍増計画」をぶち上げた際、多くのエコノミストやマスメディアは「そんなことできるわけがない」と冷笑したのです。しかし、結果を見れば、10年でGNPは倍増どころか4倍になっていました。 高度成長を成し遂げ、国民は「三種の神器」や「3C」を買い求めるようになり、日本は1960年代末には世界第2位の経済大国にのし上がりました。いわゆる「先進国クラブ」OECDに加わったのもこの頃です。 ■今と何が違うのか 一方の現代です。 この30年というもの、所得倍増どころか、日本人の所得は一向に上がりませんでした。 単純にあの頃と較べることはできませんが、何が似ていて何が違うのでしょう。 自民党に逆風が吹いているのは同じ。国際社会が戦争への危機感を持っているのも同じです。格差が拡がり、貧困が問題になっているのも(レベルの差はありますが)割合似ています。 しかし、何が違うって、圧倒的なのは、次の部分でしょう。 人口増加中の60年代と、人口減少中の今。若い人が多かった60年代と、高齢化の進む今。 何より「追いつけ追いこせ」の60年代に較べて、今の日本は「守り」に入ってしまっています。 ■所得倍増計画の「意義」 池田内閣の「所得倍増計画」は、戦後日本の経済発展を決定づけ、国民の生活水準を飛躍的に向上させました。しかし、それ以外にもじつは「精神的」な意義があったといわれます。 それは天下国家を武士的に語るのではなく、経済つまり商人的な金勘定がこれからの日本を決定づけるのだと、国民に印象づけたことです。そういえば「エコノミックアニマル」などという揶揄の言葉が生まれたのも、この政策の直後からでした。
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