「戒厳解除、尹錫悦逮捕」…韓国国会前の市民、戒厳軍を全身で阻止
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が3日夜、突じょとして非常戒厳を宣布し、約2時間33分後に国会の議決で戒厳が解除されたことを受け、憤った市民たちは尹大統領の退陣を求めた。 国会前に集まった市民たちの「戒厳を解除せよ」というスローガンは、すぐに「尹錫悦を逮捕せよ」に切り替わった。国会で戒厳解除要求案が可決すると、市民たちは「弾劾事由に当たる」「尹錫悦を追い出そう」と、さらに声を高めた。その場で発言台が設けられ、そこに立ったある市民は「独裁の陰に入るわけにはいかない」と誓い、2年前に大学に入学したという青年は「8年前の光化門(クァンファムン)集会で一緒だった先輩や後輩たちがここにいる。共に進もう」と叫んだ。京畿道安山(アンサン)から5万ウォンのタクシー代を払って駆け付けたという市民は愛国歌(韓国の国歌)を歌った。 市民たちは3日夜、尹大統領の非常戒厳宣布のニュースが流れた直後に国会前に集まり、「戒厳解除、独裁打倒!」を叫んだ。国会の正門を塞いだ警察に抗議し、塀を越えて国会の中に入り、都心を低く飛行するヘリコプターの音に悲鳴を上げた。国会に入ろうとする戒厳軍を全身で阻止した。 国会前に集まった市民の数は、4日午前0時を回ってさらに増えた。現場にいた警察はこの日0時20分基準で「1千人以上が集まったとみられる」と語った。市民たちは、国会に進入しようとした黒い服装の戒厳軍の前に立ちはだかった。一部の戒厳軍は市民たちの制止を振り払って国会に進入したが、一部は市民の反発によって迂回して後退した。 尹大統領の戒厳宣言に、全国の市民たちは「開いた口が塞がらない」、「これから夜間通行を禁止にして、ろうそく集会は軍隊が鎮圧するのか」と口々に述べ、当惑と怒りを隠せない様子だった。ソウル広津区(クァンジング)に住むKさん(27)は「ひどい悪口しか出てこない。同年代の人で戒厳という言葉を実際に聞いた人もほとんどいないのに、突然非常戒厳令を敷くなんて、本当にとんでもない」と語った。 20代の女性も「従北(北朝鮮追従)反国家勢力という言葉が2024年にも通じると考えていることにまずショックを受けた」と話した。他の30代の女性は「弾劾されたくてわざとああしているのか、近しい易術師に言われたのか、正気なのか」とし、「正気の沙汰ではない」という言葉を繰り返した。Kさん(30)は「非常戒厳令なんて、ふざけるな。今が1980年代なのか2024年なのか分からないほどだ。大統領が国民を不安にさせて良いのか」と声を高めた。 京畿道高陽市(コヤンシ)に住むSさん(28)は、「曖昧な説明で国民の基本権を制限しうる戒厳令を宣布するのは、支持を受けられない」とし、「国民を抑圧するために戒厳令を敷く独裁政権のやり方と変わらず、怖い」と語った。 非常戒厳宣布のニュースを聞いた光州(クァンジュ)市民たちは、ソーシャルメディアなどを通じて情報を共有し、驚きを示すとともに、5・18民主広場に集まろうと呼びかけた。5・18記念財団のウォン・スンソク理事長は「非常戒厳は光州市民にとってより一層衝撃的だ。一体誰が反国家勢力だというのか」とし、「直ちに国民が乗り出さなければならない」と憤った。光州全南民主化運動同志会のキム・スンウォン常任代表は「憤りで震えが止まらない。国民を馬鹿にしているのか。韓国はこの程度なのか」として、「庶民はますます生きづらい世の中になった。(尹大統領は)全斗煥(チョン・ドゥファン)よりひどい人だ」と批判した。 全国の市民社会団体は、尹大統領の違法な戒厳宣布に責任を問うべきだと強調した。大田(テジョン)市民社会団体連帯会議は尹大統領の戒厳宣布直後、「戒厳宣布は憲政秩序破壊と権力乱用であり、市民社会は黙っていない」とし、「国民が与えた権力をむしろ国民を抑圧する道具として乱用しようとする今回の事態は明らかに反憲法的であり、民主主義の根幹を揺るがす深刻な犯罪行為だ」と指摘した。 さらに「憲法と法律が明示した理由と完全にかけ離れた理由で緊急宣布した今回の戒厳は、憲法と戒厳法が規定する要件をまったく充たしておらず、このような行為はむしろ憲法に反して国民の基本権を侵害し軍事クーデターの道を開こうとする意図が明らかだ」と主張した。民主労総大邱本部も「司法府と行政府を麻痺させたのは誰なのか。惨事ともいえる人事で国家運営をめちゃくちゃにし、数え切れないほど拒否権を行使して憲政秩序と法治主義を崩したのは、ほかでもなく尹錫悦大統領だ」とし、「社会をかく乱し麻痺させるのは尹錫悦大統領本人だ。尹錫悦は大義名分のない非常戒厳を撤回し、責任を持って退陣せよ」と要求した。 イ・ジヘ、キム・チェウン、キム・ヨンヒ、イム・ソッキュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )