「習近平氏、トランプ氏の大統領就任式招待を固辞…高位級特使を派遣」
米国のドナルド・トランプ次期大統領が20日の就任式に中国の習近平国家主席を招いたが、習主席は事実上これを断ったことが確認された。代わりに以前とは違い、高官特使を派遣してトランプ第2期政権との摩擦を低減させようとしているとの観測が出ている。 9日(現地時間)、フィナンシャル・タイムズ(FT)は複数の消息筋を引用して「習主席がトランプ氏の就任式に高官を特使として派遣しようとしている」と伝えた。特使には韓正国家副主席や王毅共産党中央外事弁公室主任兼外交部長らの名前が挙がっている。 副主席は中国憲法上主席の委任を受けて職の一部を代行でき、主席欠位時には職位を継承する。ただし副主席は儀典上序列2位だが、実質的な党内序列は常務委員会(1~7位)よりも低い8位という評価だ。 中国は副主席を各国首脳就任式などに特使資格として派遣するが、韓副主席も昨年7月パリオリンピック(五輪)開幕式、2023年5月英国チャールズ3世国王の戴冠式などに出席した。 一部では韓副主席や王部長よりも序列が高い共産党中央書記処の蔡奇書記が就任式に出席する可能性も論じられている。トランプ氏側が序列5位であり党内「実力者」の蔡書記の出席を要求しているという。 FTは「これまで中国が米大統領就任式に駐米大使を派遣してきた点を考慮する場合、高位級特使が出席するなら前例のないものになるだろう」と伝えた。あわせて「トランプ再執権に先立ち、両国間の摩擦を減らすための動き」と指摘した。 習主席が就任式に出席する可能性がほぼないことを知りながらもトランプ氏が招待状を送ったのは、今後行われる両国間の交渉で優位を占めようとする布石という見解もある。シンガポール「ザ・ストレーツ・タイムズ」は、専門家の言葉を引用して「米国最大の地政学的ライバルである中国の最高指導者が米国大統領就任式に出席するのは前例のないこと」としながら「これは政治的演劇」と伝えた。 これに先立ち、トランプ氏は6日、あるラジオ番組に出演して「習主席とは代理人を通じて対話をしている」とし「われわれはとてもうまくやると予想する」と話した。だが、トランプ氏が米上院内の代表的な対中強硬派であるマルコ・ルビオ上院議員を国務長官に内定するなどタカ派を重用していて、実際トランプ第2期スタート後、両国間の緊張が急激に高まるだろうという展望も出ている。