弱視のJリーガーが誕生 事故から5年、松本光平がJ3・高知へ
サッカーのJ3・高知ユナイテッドSCは5日、松本光平(35)がソロモン・ウォリアーズ(ソロモン諸島)から加入することを発表した。松本は5年前に事故で視力をほとんど失ったが競技を続行し、目標としていた「Jリーガー」にたどり着いた。 【写真】目を保護するゴーグルをつけてニュージーランドでプレーする松本光平。着けていないと照明が痛く、車酔いのような症状が出るという。光の刺激で酔ったような 松本は大阪出身。セレッソ大阪、ガンバ大阪の下部組織で育った。日本ではプロになれず、主にオセアニア地域でキャリアを積んできた。2019年にはオセアニア王者のヤンゲン(ニューカレドニア)の一員としてクラブワールドカップにも出場した。 20年5月にニュージーランドでのトレーニング中、壁面に金具で取り付けられたチューブを引っ張っていた際に、金具が外れ、両目に当たった。右目はほぼ失明し、左目もぼんやりとしか見えなくなった。 視覚障害のスポーツでのクラス分けではB2に該当する。日本ブラインドサッカー協会によれば、B2は「矯正後の診断で、視力0.03まで、ないし、視野5度まで」。弱視の状態だ。 それでも国内のJFLや大学の練習への参加や、フットサルFリーグのデウソン神戸でのプレーを通して、サッカー選手としての再起を目指してきた。23年夏からは再び海外のリーグでプレーしてきた。 ボールは何重にも重なって見える。チームメートの顔は見えず、そのシルエットや靴の色で識別する。「今の見え方にも慣れ、サッカーをする上ではもう問題はない」と語る。 かつて「けがをする前になれなかったJリーガーに、けがをした後になれたとしたら、すごいと思いませんか?」と話していた。その目標を果たしたが、入団がゴールではない。「ピッチに立てないと意味がないと思うのでがんばります」(内田快)
朝日新聞社