ホンダ・ヤマハ発・スズキ…競争激化は必至「電動2輪」、それぞれの戦略は?
各国政府後押しで需要拡大
「100年に1度の変革期」にある自動車業界にあって最優先の課題である電動化。2輪車も例外ではなく対応を迫られる。カーボンニュートラル(CN、温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現に向け、各国政府が支援策を展開しており、電動2輪車の需要が拡大している。ゲームチェンジの好機と捉えるベンチャーなども新規参入し、競争激化は必至。2輪車の世界シェアで計4割強を占める日本メーカー勢も電動2輪車の開発、販売を加速している。(八家宏太) 【写真】カワサキモータースが発売した初の電動2輪車「ニンジャ e-1」
脱炭素実現へ世界で優遇策
全世界で二酸化炭素(CO2)排出量の削減に向け、濃淡はありつつも各国政府がモビリティーの電動化を後押しする。2輪車も対象となっており、新規投資への税制優遇、購入時に補助金を支給するインセンティブなどを展開している。先進国だけでなく新興国も、大気汚染などの環境対策も狙って、電動化シフトを推進している。 矢野経済研究所(東京都中野区)によると22年の電動2輪車の世界販売は775万9000台(2輪車全体の12・8%)だった。これがアグレッシブな予想で25年には22年比29・3%増の1003万4000台(同16・0%)、30年には同2・2倍の1735万9000台(同27・1%)に伸びる。各国の施策に加え、世界的な環境意識の高まりなども背景にある。
新興国で電動2輪車市場が急拡大しているのがインドだ。インド道路交通・高速道路省によると、同国の電動2輪車の登録台数は20年は約2万9000台、21年は15万6000台、22年はさらに前年比約4倍の62万9215台に急増した。 東南アジア地域でも市場が拡大する。インドネシアが政府目標として30年までに電動2輪車で1300万台を掲げる。ほかの国でも税制優遇などを追い風に需要が伸びている。 世界的に電動2輪車をめぐるビジネスチャンスが広がる中、各国の地場メーカーが攻勢をかけているほか、ベンチャーの新規参入も活発化しており競争が激化する。内燃機関(ICE)の2輪車で世界的に確固たる地位を築いてきた日本メーカーも電動2輪車のニーズを取り込むべく動いている。