扶養を外れて働き始めましたが、今月は子どもの発熱でお休みが多く「給与が3万円」ほどしかありません。天引き分を減らしてもらうことはできますか?
「育児が一段落したからそろそろ扶養を外れてしっかり働こう」と張り切っては見たものの、子どもの病気などで実際は休みが多くなってしまうというケースが起こるかもしれません。一度扶養を外れると、イレギュラーで収入が少なくなっても、社会保険料や税金を払わなければならないのでしょうか? 本記事では、短時間労働者の社会保険料や税金の天引きについて、欠勤などで収入が減ったときの負担がどうなるのかを解説します。 ▼扶養内で働いてるけど、労働時間が「週20時間」を越えてしまった!「社会保険」に加入する必要はある?
社会保険の扶養を外れる条件とは
パートタイマーなどの短時間労働者が社会保険の扶養を外れるのは、原則として「4分の3基準」「130万円の壁」「106万円の壁」のいずれかの基準を満たしたときです。 ■4分の3基準 1週間の所定労働時間(契約上定められた労働時間)および1ヶ月の所定労働日数(契約上定められた労働日数)が正規社員の4分の3以上 ■130万円の壁 年収130万円以上(60歳以上あるいは障害厚生年金を受けられる程度の障害者は180万円以上)または、年収が被保険者の年収の2分の1以上 ■106万円の壁 勤務先の従業員数が101人以上(2024年10月以降は51人以上)であり、次の条件を全て満たす場合 ・週の所定労働時間が20時間以上30時間未満 ・所定内賃金(基本給と手当の合計額。※残業代、賞与、通勤手当、臨時的な賃金等を除く)が月額8万8000円以上 ・雇用の見込みが2ヶ月を超える ・学生ではない(休学中、夜間学生を除く) いずれかの基準に当てはまった場合は、本人が希望するかどうかにかかわらず、社会保険に加入して社会保険料を負担しなければなりません。 ここで注意しなければならないのは、4分の3基準や106万円の壁の判定が所定労働時間や所定内賃金など、契約上の取り決めをベースに行われる点です。欠勤などで一時的に基準を下回る場合でも、契約内容に変更がなければ社会保険への加入は継続します。
欠勤による収入減少は社会保険料の随時改定の対象にならない
社会保険料算定のルールのひとつに、固定的賃金が昇給や降給などで大幅に変動した際に、随時的に社会保険料を改定する「随時改定」の制度があります。それでは、欠勤でパートの給料が大きく減少した場合に、随時改定によって社会保険料は減額してもらえるのでしょうか。 結論から言うと、パートの欠勤による収入減少に随時改定は適用されません。随時改定は、固定的賃金の変動に対するルールで、給与体系や時給などの基礎単価、手当などの支給額変更などの場合に行われます。ただし、契約時間の変更でも随時改定の対象となる場合があります。 時給が下がった場合などには随時改定を受けられますが、表題のケースで社会保険料の天引き分を減額してもらうのは難しいでしょう。