「主婦からすれば“もうやってられない”」 “主婦年金”が廃止されるとどうなる? 年金制度改革があなたの家庭に与える影響
遺族厚生年金の見直しも検討
今回の改革では、子供のいない夫婦が死別した際の遺族厚生年金の見直しも検討されている。 先の厚労省担当記者の話。 「現行の制度では、夫を亡くした妻は30歳未満の場合は5年間の有期給付、30歳以上だと死ぬまで無期限で給付されます。一方、妻を亡くした夫は55歳以上でないと受給対象になりません。見直し案では、20~50代の給付について、亡くなったのが夫でも妻でも一律で5年間とする方向です」
「厚労省としては終身で遺族年金を払うのが嫌」
先の北村氏は、 「遺族厚生年金に関しては、確かに男性が死亡した場合と女性が死亡した場合でかなりの格差があります。そこを是正するのは理解できますが、見直し案では男女ともに有期年金にするという。結局、厚労省としては終身で遺族年金を払うのが嫌なのでしょう。働ける人はとっとと働いてねということですよね」 とした上で、こう語る。 「やはり厚労省が近年一貫してやっているのは、年金制度を何とか維持するために、給付は減らしていきながら、厚生年金の加入者を増やし、保険料を広く徴収しよう、ということなのです。しかし、年金制度はその性質上、長期的な視点で設計されているため、頻繁な変更が行われると国民の不信感が高まる可能性があります。なぜ、いま変更しなければならないのか、厚労省には国民が納得する丁寧な説明が求められます」 老後、“こんなはずじゃなかった”とならないためにも、年金制度の危うい現状くらいはきちんと把握しておくべきだろう。 前編【「職場の人間関係に悪影響が」「スキマバイトは『20時間の壁』の抜け道」 年金制度改革で主婦を“直撃”する影響とは】では、法改正に伴って新たに問題となる「20時間の壁」について報じている。 「週刊新潮」2024年12月26日号 掲載
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