あなたの知らない札幌《北海道開拓の村》前編 150年の時をタイムトリップ
街並みを見れば当時の物流が分かる
「開拓」という部分を前面に押し出すのであれば、入ってすぐの場所に「開拓小屋」(北海道への移住者が最初に建てたもので、入り口からかなり遠い場所にある)を置くという方法もあると思いますし、実際にそうしてはどうかという意見をいただきます。 しかし、私たちとしては、当時の街並みを出来る限り再現するというコンセプトから、当時の駅舎のすぐそばには都心部の建物を配置し、それを取り囲むように食料を供給する漁村・農村と資源・燃料を供給する山村を配するという設計にしました。 そして最近では、日本で唯一の「馬車鉄道」が好評で、年々乗車人数が増えています。この馬車鉄道は、市街地群と農村群をつなぐ貴重な移動手段。札幌で実際に走っていた車両の図面を基にして再現したものなので、当時の札幌市民がどのように移動していたのかも体験できるようになっています。 北海道の歴史は短いといわれますが、この150年に近代化が凝縮されています。その変遷を、ここ北海道開拓の村で知ってもらうことが私たちの願いです。ただ建物を並べるだけでなく、街づくり・村づくりをしたことで当時の人々の動きが想像できると思います。市街地を抜け、漁村・農村・山村を回り開拓小屋にたどり着く……北海道の開拓者たちが、どのような思いでこの場所で生活していたのかが肌で感じられるはずです。(後編へ続く) ※後編は5月15日(日)に掲載します。