きょう19日から、ガソリン値上げ 来月にかけ、計10円程度 「「利益増やす値上げではない…理解を」 政府補助の縮小で
政府の補助金縮小により、ガソリンや灯油などの価格が19日から全国で上がる。島根県内も今月から来月にかけ、ガソリン1リットル当たり計10円程度の上昇が見込まれる。県内の輸送、物流事業者らは取引先との関係などを考慮し、価格転嫁をためらう一方、賃上げなどで収支が悪化しており、先行きを不安視している。 【グラフ】19日から、ガソリン値上げ 島根県のガソリン価格の推移
政府補助は物価高やコロナ禍を受け2022年にスタート。ガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格を175円程度に設定し、石油元売り会社に補助金を支給してきた。補助金は19日と来年1月16日の2段階で縮小し、平均小売価格の目安は185円程度に引き上がる。 経産省によると、島根県の16日時点の小売価格は180円。ガソリンスタンド業者でつくる県石油協同組合(松江市西嫁島3丁目)の聞き取りによると、仕入れ価格の上昇を受け、多くの組合員が12月中に5円程度の値上げに踏み切るとみられるという。森山康史専務理事は「利益を増やすための値上げでないのは理解してほしい」と訴える。 雲南、松江両市にガソリンスタンド3店を構える雲南石油商会(松江市宍道町宍道)は、週明けの23日から1リットル当たり5円程度の値上げを予定。原田岳志社長は「これから需要が増える灯油の仕入れ価格も上がるだろう。ただ値上げは買い控えにつながる恐れもある」と危惧した。
大型トラックなど5台を保有する県東部の運送業の経営者は「ただでさえ利益が乏しい中での燃料費上昇は痛い」と吐露。取引先とのこれまでの関係から即座に価格転嫁するのは難しく、「経営はさらに厳しくなる」と唇をかんだ。 益田タクシー(益田市赤城町)の藤原政志常務は、ガソリンなどの引き上げの余波でガスで走る車両の燃料費も上がると見込む。利用者数がコロナ禍前の水準に戻らない中、最低賃金引き上げによる人件費増も経営を圧迫し、「縮小したとしても補助制度自体は継続してほしい」と求めた。 スーパーのウシオ(出雲市塩冶町)は出雲、雲南、大田3市で移動販売車7台を稼働させる。高齢者宅などに食品を運ぶため、冷蔵庫を搭載した車を早朝から夕方までエンジンをかけて走らせており、ガソリン消費量はかさむ。 一方、商品価格にはあらかじめガソリン代や手数料を含む20円が加算してあり、値上げ予定はない。責任者の秦慎一郎さんは「ルートの効率化など既にできることはやってきた。これから、どうしたらいいものか」とため息をついた。