非常戒厳めぐり「尹錫悦氏と共謀」 検察が前国防相に拘束令状を請求
韓国法務省は9日、非常戒厳の宣布をめぐって検察などの捜査対象となっている尹錫悦(ユンソンニョル)大統領について、出国禁止の措置を取ったと明らかにした。妻の金建希(キムゴニ)氏についても、出国禁止措置を検討するという。韓国メディアによると、現職大統領の出国禁止は初めてという。 また、聯合ニュースによると検察は9日夜、非常戒厳を尹氏に建議したとされる金竜顕(キムヨンヒョン)前国防相の拘束令状を請求。金前国防相が尹氏と共謀し、内乱を起こした疑いがあると示しているという。 尹氏は内乱などの疑いで告発されており、政府高官らを捜査する「高位公職者犯罪捜査処」(公捜処)など複数の機関が捜査を始めている。金氏は8日に自ら検察に出頭していた。 韓国憲法84条は、大統領は在職中に刑事上の訴追を受けないとする「不訴追特権」を認めている。ただ、「内乱または外患の罪を犯した場合を除く」との例外を規定しており、内乱罪なら、捜査機関は尹氏を訴追することができる。 警察の捜査対象は9日午前時点で尹氏ら11人だという。この中には、警察を所管していた李祥敏(イサンミン)前行政安全相らが含まれている。 警察庁の国家捜査本部長は9日、「今回の事件の捜査対象には制限はない。法と原則に従って厳正に捜査する」と述べた。尹氏に対する捜査が今後、どう進むのかに注目が集まっている。(ソウル=貝瀬秋彦、太田成美)
朝日新聞社