宮部藍梨、サーブ一撃で流れ変えた「自信になった」 父はナイジェリア出身で妹もバレー選手、米留学も経験
◆バレーボール ネーションズリーグ女子トルコ大会 ▽1次リーグ 日本3(25―21、25―15、25―22)0ドイツ(17日、トルコ・アンタルヤ) 【出場条件】バレーボール女子のパリ五輪 1次リーグ(L)第3戦が17日に行われ、6大会連続五輪を目指す日本は、ドイツを3―0で下し、開幕3連勝を飾った。第1セット(S)の18―19からミドルブロッカー・宮部藍梨(25)=姫路=がリリーフサーバーで相手守備を崩し、そこから5連続得点で逆転。流れを変え、ストレート勝ちにつなげた。第4戦は19日にポーランドと対戦する。 流れが変わった。宮部が変えた。18―19の場面でリリーフサーバーとして起用され、拾いにくい高さに絶妙なサーブを打ち込んだ。相手のトスワークを乱し、古賀の同点スパイクにつなげた。続けてセッターを大きく動かすサーブでブレイク。5連続得点での逆転に貢献し「途中で入って流れを変えるのがリザーブの役割。そこはしっかり果たせたので、うれしいし、自信にもなった」と笑顔で振り返った。 先発の平均身長は、日本の177センチに対し、ドイツは188センチ。高さのある攻撃に苦戦し、一時リードを奪われた。パリ五輪出場権を得られる最後の大会で、出場枠を争うライバルでもある。勝敗が行く手に大きく影響する一戦。宮部は第2S以降先発し、守備でも182センチの長身で相手スパイカーの脅威となった。ブロック1得点を含む3得点で、チームを3連勝に向けた。 いばらの道を歩んできた。大阪・金蘭会高時代の15年、16歳で代表デビュー。将来を有望視された中、高校卒業後は「バレーを一生仕事にはできないしな…」と米サウスアイダホ大に語学留学した。約5年、異国でバレーと両立する中、22年に6年ぶりに代表に選ばれた。突然の選出に「正直びっくり」と話すが、貢献する思いで復帰。兵庫県生まれの「関西弁」をチームメートにレクチャーするなど明るい性格で盛り上げる。 もともとはアウトサイドヒッターだが、日本代表では真鍋政義監督(60)の指導の下、高さを生かしてミドルブロッカーに挑戦。宮部も「2段トスも打てるし、武器にしたい」と意欲的に取り組む。次戦はポーランド戦。「(試合は)1日空くが、全員で集中して、全員で士気を高めて、勝ちを取りにいきたい」。6大会連続の五輪切符へ、日本のキーパーソンが躍動する。 ◆宮部 藍梨(みやべ・あいり)1998年7月29日、兵庫・尼崎市生まれ。25歳。小学3年でバレーを始め、大阪・金蘭会高2年時の2015年に代表初選出。17年春に神戸親和女大に進学し、同年秋には米サウスアイダホ大に留学。22年、6年ぶりに代表復帰し、Vリーグの姫路入り。家族はナイジェリア人の父、日本人の母、JTに在籍する妹の愛芽世(22)。182センチ。 ◆日本女子のパリ五輪への道 五輪出場12枠のうち、昨年五輪予選で出場権を獲得したのはトルコ、米国、ブラジル、セルビア、ポーランド、ドミニカ共和国と、開催国・フランスの7チーム。残る5枠は16チームで争うネーションズリーグ(NL)1次リーグ終了時の6月17日付の世界ランクで決定。アジア・オセアニア、アフリカ大陸はまだ出場権を得ておらず、アフリカはケニアが有力。日本はアジア最上位となるか、すでに出場を決めたチームなどを除く上位3か国に入ることが条件となる。
報知新聞社