インド主要企業、四半期決算が4年半ぶり低水準 景気減速が影響との見方も
Bharath Rajeswaran Hritam Mukherjee Shubham Batra [11日 ロイター] - インド主要企業の2024年7―9月期決算が四半期として過去4年半ぶりの低水準に陥り、景気減速が企業収益に影響を及ぼし始めたとの見方が強まっている。 LSEGがまとめたデータによると、NSE指数(ナショナル証券取引所に上場する50銘柄で構成)のうちこれまでに決算を発表した44社の半分超の利益が市場予想以下だった。 これは新型コロナウイルス禍が起きた20年1―3月期以来の低水準となっている。NSE指数の50社のうち市場予想を上回ったのは20%程度にとどまった。 ジェフリーズとバーンスタインのアナリストらによると、総選挙による24年4―6月期の政府支出抑制が7―9月期に及んだことや、平年を上回った降雨量が決算を押し下げた。 インドの株式市場は9月26日に付けた終値の過去最高値から約8%下落している。10月は月間としては20年3月以来の低水準となった。 中国の最近の景気刺激策を受け、外国人投資家がインドでの投資を手放したことも売りを加速させた。 インドの金融機関モティラル・オスワル・フィナンシャル・サービシズは「インド株は当面、波乱含みの展開になりそうだ」との見方を示す。 ジェフリーズによると、24年7―9月期はこれまでに決算を発表した集計対象企業121社のうち利益を下方修正した企業は20年4―6月期以来の多さとなった。 一方、モティラル・オスワルは集計対象企業166社の24年7―9月期の利益が8%減り、これは過去17四半期で最悪だった。24年4―6月期は4%減ったと推計している。 バーンスタインは、投資家がここ数カ月の軟調は長期にわたって力強い成長を遂げてきたのに伴う異常事態だとみなしていると指摘した上で「現実が見えてくれば、NSE指数は現在の水準からさらに軟調になると予想される」とコメントした。 <一時的なものか、嵐の接近か?> バーンスタインは、モンスーンや総選挙の影響は一因に過ぎず「鉱工業生産指数、8つの基幹産業、自動車需要や軽油消費といったより広範な指標で景気減速が見られる」とコメントした。 9月の鉱工業生産指数の前年同月比上昇率は8カ月ぶりの低水準となり、4―6月期の国内総生産(GDP)は前年同期比6.7%増に鈍化した。 バーンスタインは主要100銘柄の7―9月期利益の前年同期比伸び率予想を0.6%と、従来見通しの9%から引き下げた。通期予想の前期比10.2%増は維持した。 JMフィナンシャルのマネージングディレクター兼調査部門共同責任者のベンカテッシュ・バラスブラマニアム氏は1四半期の利益低迷は景気減速を示すのに十分ではないとし、そう判断するには「早すぎる」と語る。その上で「政府の設備投資が下半期に回復する可能性はある」と言及した。 ジェフリーズは循環的な景気減速が利益減速に表れたと指摘し、25年度下半期に回復する可能性があるとの見方を示した。 政府の設備投資支出は上半期に15%減少したとし、天候不順の影響もあって下半期には25%増え、利益と株式市場の回復を下支えすると予想した。