新たな“がん治療” として期待 光免疫療法「アルミノックス治療」“あきらめていた”がん患者のために治験重ねる
新たな“がん治療”として期待されているのが光免疫療法の「アルミノックス治療」。薬と光でがんを壊死させるもので、通常の治療で治らず“あきらめていた”がん患者のために治験が重ねられている。 【画像】新たな“がん治療” として期待される「光免疫療法」
“第5のがん治療”として注目
2024年11月20日、佐賀大学医学部附属病院で光免疫療法の「アルミノックス治療」が佐賀県内で初めて行われた。 この治療は、3年前に大手医療メーカーが実用化したもので、手術・放射線・抗がん剤・免疫療法に続く“第5のがん治療”として注目されている。 光免疫療法は薬剤と光を使ってがんを壊死させる最新医療。費用は1回約500万円。いまのところ「頭頸部がん」で条件を満たした治療のみ日本で認可され、保険や高額療養費制度などが適用されている。 佐賀大学医学部耳鼻咽喉科の杉山庸一郎教授は、「新しい治療ということで、まだまだ未知数な部分が多いが、既存の治療でなかなか治療ができなかった人への新しい治療として期待している」と話す。
「光免疫療法」の現場に密着
この日行われた光免疫療法の治療現場に密着した。 治療には、佐賀大学医学部の杉山教授をはじめ耳鼻咽喉科や麻酔科の医師・看護師・医療メーカーなど約20人が参加。 光免疫療法は、治療前日に、光に反応しがんにだけ付着する物質を薬で投与するところから始まる。今回治療を受ける高齢の男性は、のどあたりにがんができていて口から光ファイバーがついたカテーテルを入れるため、のどを切開し気道を確保する。 治療の際には強い光が使われるためゴーグルを着用しなければならない。全員がゴーグルを着用し光免疫療法が開始された。
薬と光で…がんを壊死
緑の光を放つ装置を準備し、カメラを見ながら慎重に口からのどに挿入していく。前日投与し患部に付着した薬に約5分半光をあて化学反応でがんを壊死させるというのがこの治療だ。 がんの大きさを再度確認し、7ミリから38ミリまでの直径の光(レーザー)を、どれくらいの大きさで何回あてるのかを現場で判断する。 今回は、薬が付着した患部に5回にわけて部分的に光をあて、約1時間で治療は終了。今後、経過観察をすることになった。
「患者のために治験を重ねていく」
佐賀大学医学部耳鼻咽喉科の杉山庸一郎教授は「どういう使い方が一番効果的なのかは、これから治験を重ねて整理されていくと思う」と今後の課題を説明。「これまでなかなか治療がむずかしく、他に手だてがなく、あきらめられていた患者に対する新しい治療として期待している」と語った。 アメリカで行われた30人の治験では、がん細胞が消えたのが4人。がん細胞が縮小したのは9人で、43%の人に効果がみられた。 この治療については、放射線など通常のがん治療で治らなかった人を対象に今後治験を積み重ね、他の部位への転用も検討するという。 (サガテレビ)
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