住友商事のオープン・イノベーション・ラボ 6年で会員数8千人 ここまで増やせた理由とは
全国各地のそれぞれの職場にいる、優れた技能やノウハウを持つ人が登場する連載「職場の神様」。様々な分野で活躍する人たちの神業と仕事の極意を紹介する。AERA2024年12月23日号には住友商事 MIRAI LAB PALETTE(ミライ ラボ パレット) コミュニティーマネージャー 鎌北雛乃さんが登場した。 【写真特集】大物がズラリ!AERA表紙フォトギャラリーはこちら * * * 東京・大手町の一角にあるMIRAI LAB PALETTE(以下、パレット)は住友商事が運営する会員制のオープン・イノベーション・ラボだ。同社員からの紹介があれば、所属や肩書を問わず20歳以上のあらゆる老若男女が無料で登録できる。今年で6年目を迎える今、会員数は8千人に近づいている。 設立当時から会員同士のビジネスマッチングをしたり、相談に乗ったり、コミュニティーを活性化するためのイベントなどを企画・運営したりと日々フル稼働している。 20歳の時、千葉県の人口約7千人の町に移住し、まちづくりをした経験がある。寄せられた地元民からの相談に対し、同じ地元民を紹介するなどして課題を解決してきた。「みんなで助け合って共生する循環が生まれていったことが原体験としてあります」と振り返る。町の活性化に貢献することにやりがいを感じていた中、ふと目にした今の職場の募集に、「ここだ!」と直感的に思い、応募した。 「当時と今とでは規模感は違いますが、していることの本質は変わらないと感じます」 パレットの特徴の一つは、住友商事への直接的な利益がない事業の企画や相談も歓迎している点だ。 ある会員から「新しい技術を生み出したけど、どのように活用できるだろうか」と相談を受けた時のこと。まだ世に出ていない技術のみを集めた「技術展示会」を企画。その結果、「実は協業に向けて話が進んでいます」との嬉しい報告を受けた。 「ここでしか生まれない出会いやコラボレーションを循環させることが目標であり、ミッションだと考えています」 最近ではパレットに対して「恩返しがしたい」「貢献したい」と自主的にイベントを企画する会員も増えてきた。「メンバーさん同士の深いつながりが生まれる中で、幸せの循環が生まれていくことが嬉しい」と顔をほころばせる。 ここ1年はイベント開催に注力してきたため、自席にいる時間は少なくなっていた。「アポを取らないと話ができない存在」になってしまったことが課題だと感じる。 「立ち上げ当初からの数年間は、日中はずっとメンバーの方と話をしていました。これからは現場にいる時間を増やし、メンバーの方と気軽に話ができるようにしたいです」 (フリーランス記者・小野ヒデコ) ※AERA 2024年12月23日号
小野ヒデコ