まだ気が早いけど……2026年のF1マシンはこうなる? 少しずつ見えてきた次世代マシンの形
ダウンフォースを抑え、よりレースしやすいマシンに
エアロダイナミクスの観点から、FIAは2026年型マシンのコンセプトを現行マシンの進化形と見なしている。 グラウンドエフェクトは維持され、マシンが互いに追従しやすくなるようにルールが改善されることが期待されている。 現行のレギュレーションにいくつかの抜け穴が残されており、後方を走るマシンの空力性能に悪影響を与えるデザインが使用できる状態だとトンバジスは認めている。そして2026年には、こうした抜け穴を塞ごうとしているのだ。 「2023年シーズンは、接近戦のしやすさという特徴が少し悪化した。我々はその理由と方法、そして何をすべきかを理解しているつもりだ」 「次のラウンド(2026年)は、接近戦をよりしっかりと実現できると信じている」 ダウンフォースが減る一方で空気抵抗も減るため、現在のシミュレーションではラップタイムが劇的に悪化することはないとトンバジスはいう。 「今とほとんど変わらないだろう」 「差は2、3秒以内に収まると思う。でも、たとえ5秒遅かったとしても、大汗をかくことはない」 見た目については、2026年のクルマは今と同じようなものになるだろうとトンバジスは言う。 「それを知っている人なら違いがわかるだろうが、これまでと同じように見えるだろう。それに関しては、何の疑いもない」
可動式エアロとDRS
現行マシンからの変更点のひとつは、ストレートでの空気抵抗を減らすための可動式エアロの追加だ。これがどのように機能するのか、またストレートでのDRSのポテンシャルを損なうことになるのかどうか、不透明な部分もある。 以前は、前を走るマシンのウイングの角度が変化し、DRSとは逆に遅くされるのではないかという話さえあった。 トンバジスは可動式エアロのアイデアについて、遅くする方向に使われることはないと説明した。 「空気抵抗の低減を実現するために、ストレートでウイングの角度が変わるのは間違いない。しかし、何らかの手段で前を走るクルマを減速させることは絶対にない。それは単純にうまくいかないだろう」 DRSに関しては、FIAはオーバーテイクの機会を提供するためにいくつかの異なるアイデアを検討しているという。 「現在のDRSに相当するものが導入される予定で、基本的には一定の制限内にいる後続車がアタックできるようにする可能性がある」 「そのメカニズムがどのような形になるのか。ストレートでの空力コンポーネントの変化を追加するのか、コーナーでの空力コンポーネントの変化を追加するのか、エンジンのエネルギーの一部なのか……」 「3つのうちどれになるのか、我々はまだ最善の解決策を導き出すためにシミュレーションを行なっているところだ」 「我々が望んでいるのは、ストレートでクルマが互いに交わしていくようなことではない。ブレーキングポイントでクルマ同士が接近してバトルになり、ドライバーは自分の技術を駆使しなければならない」 トンバジスは、DRSが効果的すぎたとしても調整は可能であり、他の方法を模索してオーバーテイクできなくなるよりはいいと語った。 「オーバーテイクを簡単にしすぎたくはない。だが『もう必要ないんだ』と言うこともできない」 「オーバーテイクがまた不可能になるとか、そういう状況に陥るリスクは冒せない。だから、ポケットに忍ばせておいて、適度に使うことはあっても、大いに使うことはないようにしたいんだ」 「オーバーテイクも戦いでなければならない。クルマ同士がただ通り過ぎるだけではいけない」
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