韓国の若者は食事の回数や野菜を減らし、中高年は会社の倒産や老後資産に頭を抱える 「半地下」の格差社会は今…与党大敗の総選挙ルポ
▽格差対策への反発 就職準備のための予備校が集まり、若者が多い新林地区に暮らすプログラマーの男性会社員(27)は、尹政権が「財政健全性」を主張して研究開発予算を減らしたことを問題視し、小選挙区は白票を投じたという。革新系野党を支持しないのは、革新系の文在寅前政権が公共企業の非正規職員を正規職に転換する政策を進めたため「自分が公共企業の正規職に就職したかったのに、それが(非正規職の人たちに)取られた」と考えるのが理由だと話した。 3月に結成されたばかりで、総選挙で躍進した革新系野党「祖国革新党」は、大企業の賃金の一部を下請け企業へ回す「社会連帯賃金」という制度を提案した。与党は「祖国革新党の候補者自身は資産家なのに、平凡な(大企業)会社員の賃金をカットさせようとしている」として「公約を撤回して謝罪しろ」と主張した。現代自動車などが参加する「全国金属労働組合」も「(大企業の)労働者が損をする」とけん制した。
このように、格差問題は深刻だと言われる一方で、その対策は亀裂や反発も招いている。社会学博士で、ソウルの地下鉄の駅員として働く張庚泰さん(58)は「就職などでの失敗が許されない社会の風潮で、(大企業の人が中小企業や非正規職の人に対するように)自分よりも弱い立場の人に攻撃的になる悪循環が生じている」と分析した。