韓国の若者は食事の回数や野菜を減らし、中高年は会社の倒産や老後資産に頭を抱える 「半地下」の格差社会は今…与党大敗の総選挙ルポ
格差問題は受験、就職の競争の激化にもつながっている。黄さんは「韓国の経済構造が変わらないといけない。資本主義社会でしょうがないのだろうが、頭の良い人が改善させなければいけない」と願う。 ▽リンゴ値段88%上昇 昨春以降、韓国の物価上昇率は前年同月比で3%前後で推移している。特に深刻なのは食品で、今年3月、リンゴは88%、ミカンは68%、トマトは36%、ネギは23%、コメは8%、前年同月比で上昇した。 3月下旬、ソウル最大規模の青果市場「清凉里市場」ではリンゴ3~5個が1万ウォン(約1110円)、キュウリ1本は千ウォンといった値段で売られており、店主らは「客足が遠のいた」「売値を抑え、利益が減った」と口をそろえた。 ▽食事を減らし… 総選挙での与党大敗は、尹大統領の家族の不正疑惑や「独断的」な政治スタイル、「日本に寄りすぎ」と批判される外交などに不満が積もっていた上に、食品物価の高騰が響いたとみられる。
ソウルのデザイナーの女性(23)は「食事の回数や野菜を減らしている。私の友人たちもそうだ。政治は何かが変わらなければいけない」と、野党に投票したと語った。 尹大統領は3月、視察先のスーパーで特売で売られていた長ネギ1束を手に取り「875ウォン(約100円)とは合理的だ」と述べた。普通は、長ネギ1束の平均価格は3千ウォンほどということを知らなかったようだ。「庶民感覚がない」との批判を招き、政権批判の材料になった。 ▽江南スタイル 与党はソウルを中心とした首都圏の小選挙区122のうち、19しか勝てない惨敗だった。それでも、ソウルの中で抜群に与党支持が高い地区がある。歌手PSY(サイ)の世界的ヒット曲「江南スタイル」で知られる江南地区だ。 ビジネス街であり、美容クリニックや有名進学塾なども集中する。このエリアの高層マンション街で候補者遊説に立ち止まっていた子連れの主婦(39)は、尹政権が国家債務の増加を抑えようとしていることを評価した。また、不動産賃貸業を営む男性(68)は「革新系野党は財閥の立場を考えておらず、労働者の側に寄りすぎている」と指摘した。