海峡地で港湾混雑、貿易リスク20兆円。IC基盤など
英データ分析企業ラッセルグループによると、シンガポールやポートクラン、タンジュンペラパスなどの海峡地港湾の混雑で、1310億ドル(約20兆円)相当の貿易がリスクにさらされているという。ラッセルが自社の海運関連データベース・LPSマリンを通じて分析したところ、特に影響が大きい品目はIC(集積回路)基板(110億ドル)、原油(73億ドル)だったという。 昨年11月からの船社によるスエズ運河航行回避から、コンテナ船サービスのスケジュールが混乱、船舶の寄港が集中したことなどで、5月下旬からアジアや地中海港湾での混雑が発生している。 世界最大のトランシップ(接続、TS)港であるシンガポールの混雑が悪化したことで、混雑を避けるために船社が周辺のポートクランや、タンジュンペラパス港にシフト。結果として混雑が拡大していった。 ラッセルグループのスキ・バシ・マネージングダイレクターは「企業がホリデーシーズンに向けて発注を始める時期に差し掛かるにつれ、この需要が他港にも広がれば、企業は商品調達に苦労することになる」と説明。一方、港湾混雑については6月中旬が最もひどく、8月には緩和される可能性が高いとしている。
日本海事新聞社