「なんで...なんでしか出てこなかった」生後5か月のわが子 認可外保育施設へ預けた数時間後に「うつぶせ死」保育従事者不足で繰り返された『ずさんな保育』の実態
3回違反が続いていたのに…なぜ市は重い処分を下さなかった?
田辺市も2013年からの3年連続で、保育士の数が足りていない状況を把握し改善するよう指導していたという。 (田辺市子育て推進課・保育係 宇代夏樹係長)「いずれの年度も同様の指導をして、それに基づいて改善の報告をいただいている。(Q改善の報告とは?)『できる限り常に保育従事者が2人を下回らないように改善していきます』という改善の報告をいただいています」 託児所側は「できる限り改善する」と書面で回答しただけだったという。違反が改善されない場合、田辺市は「指導」よりも重い「勧告」や「施設名の公表」といった処分も行えた。なぜ、そうした処分を下さなかったのか。 (田辺市子育て推進課 吹揚恒夫課長)「(Q3回違反が続いていて、どの様な対応を取るべきだった?)どういった形であれば次の改善勧告にいくっていうのが全くないので。今回については、今から思えば確かに改善勧告だったのかなと思うところがございます」 実は保育施設に対する国の指導監督基準には「指導を繰り返し行っているにもかかわらず、改善の見通しがない場合には勧告を行うこと」としか書かれていない。 田辺市は指導を何回行った場合に勧告に進むべきか、基準が曖昧なため、当時の担当者は判断ができなかったのではないかと話す。 実際、民間のシンクタンクが行った調査によると、国の指導監督基準の解釈について自治体の約4割が「悩んだことがある」と答えている(認可外保育施設に対する指導監督の実施における標準化に向けた調査研究(野村総合研究所)より)。 心都ちゃんの事故を受け、指導監督基準を定めているこども家庭庁は… (子ども家庭庁 加藤鮎子大臣※9月20日当時)「直ちに国の指導監督基準等に瑕疵があったとは考えておりません。他方、今後こうした事案が発生しないよう、必要な対策を講じていくことが重要であると考えており、国として地方自治体に対し、必要な改善勧告を含む指導・勧告の徹底、これを依頼する」 自治体に対し「必要な改善勧告」を行うよう呼びかけるに留めている。
「心都ちゃんとの時間がなくなったのが悔しい」
生後5か月の娘・心都ちゃんを失った柴尾さん夫婦。過去に3度に渡って違反が確認されていたのに、改善がされていなかったことに憤りを感じている。 (柴尾隆幸さん)「改善していなくて営業できていなかったら僕らも預けることはなかったやろうし。せめて直してから営業を再開してほしかった。市の方も、できているのがわかってから許可を出してほしかった」 (柴尾心さん)「心都ちゃんで2人でゆっくり家にいて遊ぶ時間が楽しかったので、その時間がなくなったのが…悔しいですね」 (2024年10月1日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)