意外と多い“洗濯が苦手”な人「畳めない、洗剤が測れない…」専門家に改善策を聞く
キャンセル界隈は、ずっと前から存在していた
先述のように、キャンセル界隈の一部には、精神的な側面が理由になっている人も存在する。最近話題になった言葉ではあるものの、春日院長の元には、お風呂・洗濯をはじめ、“普通の人”が当たり前にできることができない……このような相談は昔からあったそうだ。 そもそも人間が“洗濯する”ことは、臭うから、汚いから、そして、人から不潔だと思われたくないから……などが主な理由だ。そのためいくら面倒だったとしても最終的に洗濯をするが、うつ病状態になると他者との交流も少なくなり、その優先度も大きく下がってしまう。 「うつ病は判断力・意欲が全体的に落ちて怠さが増すなど、脳と身体にさまざまな不調をきたします。進行すれば、段取りを決める思考力は低下し、体を動かすことが億劫な倦怠感を伴い、やがて身なりや他者への興味も減退することになります。少しでも『おかしいな?』と思ったら、近くの精神科を受診することをお勧めします」
改善の第一歩は、完璧主義を卒業すること
一方で、精神的な理由は関係なく、面倒だから洗濯したくない人もいる。そうした人々は、工程が多くて面倒・単純に優先順位が低いだけでなく、もう一つの理由が考えられる。 「完璧主義な人の場合、“ちゃんと体を洗わなきゃ”、“しっかり畳まなきゃ”という強迫観念が強く、それが強くなりすぎた結果、後回しにしてしまうことになります。先ほどの話と紐づきますが、不安や完璧主義がストレスとなり、生活に影響を及ぼすと、精神的な不調を誘発する可能性もありえます」
とにかく工程をシンプルにし、目標を下げる
筆者には、極端に洗濯をしたがらない知人がいる。彼の話をよく聞いてみると、洗濯そのものが嫌なのではなく「畳むのが嫌」と語ってくれた。お風呂キャンセル界隈にも、「お湯を沸かすのが嫌」「乾かすのが嫌」な人もおり、つまるところ、特定の工程が苦手=その作業そのものをやりたくない、という思考回路になってしまっているようだ。 これらを直すにはどんなアプローチをするべきだろうか? 「まず、生活にさほど支障が無いのであれば、そもそも直す必要はありません。対人関係や衛生面を管理できるレベルならば、多少無頓着でも問題はないです。 そして、『できるようになりたい!』と思うのであれば、とにかく工程をシンプルにすることです。洗濯であれば、ネットに入れたり柔軟剤を測るなど、細かな作業は置いておいて、まずは洗剤を入れてスイッチを入れるだけにする…など、やる動作を限りなく少なくするようにしましょう。 またもう一つは、“自分が作業のどこで躓いているか”を明確にすること。中西さん(筆者)の知り合いが、服を畳むことがボトルネックになっているのであれば、畳まずにハンガーにかけて干しっぱなしにするといった対処法があります。服を畳む作業は器用さが求められるので、こだわり始めると際限がないですからね(笑)。最低限、洗濯するために必要な要素だけを行い、目標を限りなく下げることで、自分への強迫観念も少しずつ改善していくはずです」 ===== 人間には得手・不得手もあるため、すべてのことを完璧に行う必要はない。もし読者の中で精神的に何かが出来なくなってしまっている人がいれば、迷わず病院を受診し、日々のハードルを少しずつ下げていこう。他の何をキャンセルしたとしても、人生だけは決してキャンセルしないために。 <取材・文/FM中西> 【FM中西】 広告・ゲーム・出版を経て、現在はフリーの編集・ライターに。アニメ/ゲーム/アングラ等、ポップorサブカルチャーを浴びていたい。最近の目標は早起きと減量。友人とともに『ぽぷかる研究所』を細々と運営中
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