中古不動産投資の主流「オーナーチェンジ」だが…物件選びで見落としがちな「落とし穴」
中古不動産投資を考える際、「購入時点で入居者がいるからすぐに家賃収入が得られる」と、オーナーチェンジ物件を好む人も多いでしょう。しかし、その実情を知っていなければ、あとあとこんなはずではなかった……と後悔するケースも。本記事では、リノベーションバリューデザイン協議会の代表理事、REISM株式会社取締役の挽地裕介氏が、中古不動産投資の物件選びにおける注意点と現状トラブルとなりやすい問題点についてわかりやすく解説します。
中古不動産投資で「オーナーチェンジ物件」が多いワケ
一般的に投資用として中古不動産を購入する場合、その物件に入居者が住んでいる状態で賃貸契約ごと所有権を移転させる「オーナーチェンジ」で売買契約が締結されることが多くあります。 オーナーチェンジ物件であれば、引き渡し後すぐに家賃が入ってきたり、内装リフォームや賃貸募集の手間や費用をかける必要がなかったり、投資不動産として運用をスタートするには大きなメリットも。特に東京の都心部や人気エリアにおいては、転入超過数も継続して増加傾向にあり、途切れず賃貸が付くことが予想されているため、需要と供給のどちらも多く、選択肢も豊富です。 中古住宅買取再販の市場規模が現在約4万戸といわれていますが、2030年には20%以上増え、5万戸を超えるといった予測も出ているなかで、ますますオーナーチェンジ物件の取引件数は加速すると見て取れます。
オーナーチェンジ物件の注意点
オーナーチェンジ物件を取引する際に、担当する不動産会社が現在のオーナーや管理会社から物件に関する詳細な情報収集を行います。しかしその情報が古すぎる、正確でないなどといった場合、物件の実際の価値や品質を把握しにくくなり、リスクがあるかどうかを判断することが困難になってしまいます。 購入する物件が入居中だと、現在の室内の状態を確認することができず、入居者の生活習慣や使われ方や建物の管理次第では劣化状況や修繕の必要性を把握できません。 不動産投資は金融機関から借入を行い入居者からの家賃で返済する、いわゆる他人資本を活用する投資ですが、数十年のローンを組むにも関わらず安易な情報のみを鵜呑みにしてしまっては、購入後に予期しない修繕費用やトラブルが発生してしまいます。その結果、本来の目的である資産形成が達成されず、不動産投資に失敗したといわれる一番の理由になっています。