「味方でありたい」悩みと向き合う臨床心理士・みたらし加奈さんの願い 広がる〝お悩み相談〟への懸念
「自分の考えを押しつけない」「決めつけない」。臨床心理士として活動するみたらし加奈さんは、悩みに答える際に気をつけていることがあります。現在、SNSなどでは多くの人がモヤモヤをはき出し、見ず知らずの人にも気軽に相談できるようになりましたが、みたらしさんはそこに潜む〝危うさ〟も感じているそうです。モヤモヤを受け止める立場としての想いを聞きました。 【画像】新聞の人生相談欄 昭和から変わらず多いのは〝あの悩み〟 みたらし加奈さん 1993年東京都生まれ。大学院卒業後、総合病院の精神科に勤務。現在は国際心理支援協会に勤務しながら、メディアにも出演し、SNSを通してLGBTQに関する情報発信や精神疾患の認知を広める活動を行っている。専門家と共に性被害や性的同意に関する情報発信をおこなうNPO法人『mimosas(ミモザ)』の代表副理事。書に『マインドトークあなたと私の心の話』、『テイラー声をさがす物語』。
「味方でありたい」
臨床心理士として多くのカウンセリングを担当し、メディアを通じてたくさんの悩みと向き合ってきたみたらし加奈さん。現在、朝日新聞デジタルRe:Ronの連載「みたらし加奈の味方でありたい」で読者の悩みに答えていますが、「味方でありたい」という言葉には、みたらしさん自身の覚悟が込められています。 モヤモヤに答える際に意識しているのは、「自分の考えを押しつけないこと」です。 「お悩みというかたちでメッセージを送ってくださる方は、何かしらのアドバイスを求めている場合が多いと思います。私の実体験を紹介したり、専門的な知見からの意見を提示したりしますが、あくまでそれは私が行き着いたものです。いくつかの選択肢を提示して、『押し付けない』『決めつけない』形で参考になれば、と気をつけてます」 社会の先入観を前提にしないことにも気を配ります。恋人に関する相談があったときも、異性愛と決めつけず、「できるだけ主語を開いていくことを意識している」そうです。 「私のところに寄せられる質問は、性被害や性的同意、ジェンダーセクシャリティーといった内容が多くあります。『もしあなたがこういう思いや不安を抱えているのであれば、それはあなたのせいではないし、私はあなたの味方でありたいと思ってます』という言葉の選び方をするようにしています」と語ります。 「『味方でありたい』というのは、ときにエゴになってしまうこともある。それでもエゴだけで終わらせず、自分の持っている専門知識とともに、あなたの痛みを一緒に引き受ける覚悟があるという『味方でありたい』でもあります。味方であるために考え続けることへの、自分自身への約束のようなものなのかもしれません」 【関連記事】朝日新聞デジタルRe:Ronの連載「みたらし加奈の味方でありたい」