テレワークによる精神疾患で「労災」認定…心身の健康を害する前に労働者がとれる「有効な自衛手段」とは?
弁護士に依頼するといくらかかるか?
場合によっては弁護士に依頼することも考えられる。不払い残業代の請求、退職の意思表示などを代理してもらうほかに、前述の「特定受給資格者」の認定についても、弁護士の力を借りることがあり得るという 。 「たとえば、ハローワークに特定受給資格者の認定をしてもらうにあたり、勤務先がハローワークに離職証明書を提出することになっています。離職証明書には離職理由を具体的に記載する欄がありますが、勤務先の担当者がそこを正直に書いてくれるとは限りません。 そうなれば、特別受給資格者の認定に時間がかかり、失業給付を早く受給したいのに、受給が遅れてしまう可能性があります。そこで、弁護士に依頼して交渉してもらうという手段が考えられます」(松井剛弁護士) 気になるのは、弁護士費用、特に、依頼の際に支払う「着手金」がいくらかかるかである。 「着手金を払わなければならないかどうか、いくらかかるかについては、法律事務所によっても、依頼内容によっても違います。 たとえば、不払い残業代の請求については着手金をもらわないところもけっこうあります。 これに対し、先述した離職票についての交渉については、10万円~20万円くらいの着手金をいただくことがあります。 どうしてもお金がないというのであれば、法テラスを活用するという手段もあります。」(松井剛弁護士) テレワークに限らず、長時間労働は、労働者を疲弊させ、自分自身が気づかないうちに心身の健康を蝕むおそれがある。労災認定を受ける段階に至ってしまっては手遅れということもある。そうなる前に、一人で悩まず、有効な手当てを講じることが大切である。この記事がその一助になることを願ってやまない。
弁護士JP編集部