TradFiが殺到:ゴールドマンのデジタル資産責任者、トークン化の可能性を語る【Consensus 2024】
トークン化
ゴールドマンがトークン化のトレンドに早くから着目していたことは間違いないが、オープンブロックチェーンの利用を完全に受け入れるまでには至っていない。マクダーモット氏は、同社が2021年からパーミッションド・プライベートチェーンの使用を決めたことは、ある種の「強い思想的ポジション」よりも、不確実な法的環境との関係によるところが大きいと述べた。 「我々にとって、クライアントが何を望んでいるのかを知ることが、『どのようにクライアントにサービスを提供できるか』につながる。もう少し迅速な方法で動くために、独自プラットフォームを持つことが重要だった」とマクダーモット氏。ウェルス・マネージャーや機関投資家のようなクライアントのニーズは変化する可能性があるため、最終的にどこに「落ち着くか」については「いくつかのオプション」を持っているという。 究極的には、トークン化は資産発行の「ライフサイクルをデジタル化」し、企業の業務効率を向上させるだけでなく、より多くの投資家を取り込む可能性があることで流動性も向上させるという大きなメリットがあるため、成長トレンドになるとマクダーモット氏は見ている。 「分割し、より幅広い投資家に提供できる商品を実際に作ることができれば、流通チャネルを広げるだけでなく、より多くの流通流動性を集中させることができる。非常にパワフルなことだ」とマクダーモット氏は語った。
次はどこへ?
マクダーモット氏は、ゴールドマン・サックスはすでに銀行がブロックチェーンを利用することの「商業的実用性」を証明するところまで進んでいるとしながらも、現在の商品の多くは比較的「ありきたり」だと述べた。とはいえ、マネー・マーケット・ファンド(MMF)のような堅実な資産クラスのトークン化が進めば、デリバティブやレポに使える担保が4兆7000億ドル(約738兆円、1ドル157円換算)増えることになる。マクダーモット氏によれば、「これは非常に強力」。 「規制が明確になれば、セルサイドの参加者が増え、オンチェーン市場の実行可能性を示すことができる。そうすれば、(不動産やグリーン債権の発行など)おそらく素晴らしい価値提案を備えた他の資産クラスを構築し、利用し始めることができる」とマクダーモット氏は主張した。 暗号資産が銀行に取って代わるようなことがあるだろうか? 「我々のような金融機関は、金融システムの一部をより効率的な方法で運用できるように変革する可能性を暗号資産に見出している」とマクダーモット氏は答えた。 |翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:「Consensus 2024」で登壇したゴールドマン・サックスのマシュー・マクダーモット氏(Shutterstock/CoinDesk)|原文:TradFi Rushes In: Goldman Sachs Digital Assets Lead Matthew McDermott on the Institutional Embrace of Tokenization
CoinDesk Japan 編集部