相続時精算課税制度の注意点 4つのメリットと7つのデメリット
生前贈与への関心の高まりとともに相続時精算課税制度にも注目が集まるようになりました。「年110万円の基礎控除に加え、贈与額が2500万円に達するまでは贈与税がかからない」点は魅力的ですが、注意点がたくさんあります。今回は概要とメリット・デメリットについて一緒に見ていきましょう。 【マンガ特集】知らないと痛い目に 無計画な生前贈与の落とし穴
1. 相続時精算課税制度とは何か
相続時精算課税制度とは、贈与額が2500万円に達するまでは贈与税はかからず、2500万円を超えた部分は贈与税率20%で課税される制度で、暦年課税制度と並ぶ日本の贈与税の柱の一つです。さらに2024年からは年110万円の基礎控除が加わり、年110万円までの贈与なら贈与税がかからず、相続税への持ち戻しも不要になりました。ただ、暦年課税制度と違い、相続時精算課税制度は事前の手続きが必要です。また、贈与者・受贈者の関係や年齢に制限があります。一度選択すると、以後の贈与はすべてこの制度の対象です。
2. 相続時精算課税制度を使える対象者とは
相続時精算課税制度は元々、高齢者が持つ資産を現役世代に移転しやすくするために創設されました。そのため、贈与者と受贈者は直系の血族でなくてはなりません。贈与者・受贈者それぞれに年齢制限も設けられています。 ・贈与者…贈与した年の1月1日において60歳以上である父母又は祖父母 ・受贈者…贈与を受けた年の1月1日において18歳以上(ただし、2022年3月31日以前の贈与により財産を取得した場合は20歳以上)である子や孫 2-1. 初回の贈与で提出するものとは 相続時精算課税制度の適用を受けるには、適用対象としたい最初の贈与の年の翌年3月15日までに、次の書類を提出しなくてはなりません。 1. 贈与税の申告書(年110万円以下の贈与なら不要) 2. 相続時精算課税選択届出書(以下「選択届出書」) 3. 受贈者の戸籍謄本(抄本)※受贈者が贈与者の孫ならば子の戸籍謄本(抄本) 4. 受贈者の戸籍の附票の写し 5. 贈与者の住民票の写し なお、3.から5.までの書類は、贈与者・受贈者が直系の血族であることと年齢が条件にあっていることを確認するためのものです。