【大学野球】芽生えた特別な感情 見応え十分の投げ合いを繰り広げた法大・篠木健太郎、早大・伊藤樹
「たくさんのことを学ぶことができた」
早大は東大との第1週を、連勝で勝ち点1を挙げた。第2週は空き週で、法大との第3週を迎えていた。調整期間は十分だった伊藤も、負けてはいなかった。1回裏に制球を乱すなどして、2点を先制されるも、背番号11の絶対的エースは簡単に崩れない。 すぐさま「変化球の低めを見切っている」と判断し「ゾーンに変化球、ストレートを集めて、投手優位のカウントを作っていく」と投球スタイルを変えた。「基本はゾーン低めに左右の出し入れ。低めすぎるとカウントが悪くなる。安打は仕方ない。ホームランだけにはならないよう、タイミングを外した」。2回以降は立ち直り、クレバーな投球術に法大・大島監督は「伊藤投手はさすが。いろいろな引き出しを持っている」と目を細めた。 同じ右腕であり、1学年上の背番号18の篠木から感じるものがあったという。 「能力的なストレートの強さは、大学生でもトップクラスです。法政のエースとしての意志の高さ、勝ち気。僕も持っているつもりですが、負けないように、たくさんのことを学ぶことができました」 伊藤は8回3失点。プロ併用日のこの日、試合は連盟規定により、3対3の引き分けだった。早大・小宮山悟監督は「立教戦での疲れを考えれば、勝たないといけない試合だった。リーグ戦のスケジュールのアヤを生かしきれなかった。私たちにとっては痛い引き分けじゃないですかね」と冷静に語った。 篠木、伊藤とも中1日、3回戦に向けてスタンバイする。1回戦ドローで、まさしく仕切り直し。春秋連覇を狙う早大と、2020年春以来のV奪還を目指す法大は、勝ち点(2勝先勝)をめぐり、白熱した対抗戦を展開する。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール