USスチール株急伸、日鉄が米に新提案-買収実現へ最後の取り組み
(ブルームバーグ): 日本製鉄は、USスチールの生産能力削減に関して米政府に拒否権を与えることを提案した。事情に詳しい関係者1人が明らかにしたもので、USスチール買収計画についてバイデン米大統領の承認を得るための最後の取り組みとなる。これを受け、USスチールの株価は1年ぶりの大幅高となった。
情報が公になっていないことを理由に同関係者が匿名を条件に語ったところによれば、今回の提案は対米外国投資委員会(CFIUS)が提起した懸念への対応が目的。CFIUSは先週、日鉄によるUSスチール買収は米鉄鋼生産の減少につながると指摘していた。日鉄の新提案については米紙ワシントン・ポストが先に報じていた。
12月31日の米株式市場で、USスチールは一時14%上昇し、日中ベースで2023年12月以来の大幅高となった。終値は9.5%高の33.99ドル。日鉄が提示した買収価格の1株55ドルはなお大きく下回っている。
日鉄の広報センター部長の菊池佳代氏はブルームバーグに対し、コメントは控えさせていただくとした。USスチールはまだコメント要請に応じていない。
ホワイトハウスは取材に対し、CFIUSの報告内容を検証中だとする以前の声明を参照するよう求め、さらなるコメントは控えた。
日鉄によるUSスチール買収計画を巡り、国家安全保障上の問題を審査してきたCFIUSは意見がまとまらず、最終判断はバイデン大統領に委ねられた。
バイデン氏は以前から同計画への反対を示唆しており、ホワイトハウスは明言していないものの、阻止する意向だとされる。CFIUSの報告を受けてから15日以内に決定を下すことになるバイデン氏は、USスチールが引き続き国内で所有され、運営されるべきだと繰り返し述べてきた。
トランプ次期大統領は、大統領に就任すれば日鉄によるUSスチール買収を阻止すると述べているが、スケジュールから判断する限り、トランプ氏就任前に決着しそうだ。