露軍ドローンを撃墜する瞬間を「初公開」…レーザー誘導の迎撃システム「バンパイア」の命中シーン
<米軍がウクライナに提供した対ドローン迎撃システム「バンパイア(VAMPIRE)」は、費用対効果の高いドローン対策と言える>
ウクライナが運用する地対空ミサイルシステム「バンパイア」が、ロシアの自爆型ドローン「シャヘド」を撃墜した瞬間と見られる新たな映像が公開された。映像では、バンパイアのシステムによって敵のドローンが破壊、墜落していく様子を見ることができる。 【動画】露軍ドローンを撃墜する瞬間を「初公開」…レーザー誘導の迎撃システム「バンパイア」の命中シーン ウクライナの海軍が公開し、オープンソースのインテリジェンスアカウントが共有したこの短い映像は、オペレーターの視点から撮影されたもので、携帯式地対空ミサイルシステムがレーザー誘導弾でロシアのシャヘドを撃墜したように見える。 ウクライナのメディアによると、この映像は、ウクライナにおいて戦闘状況下のバンパイアを初めて捉えたものだという。 本誌はこの映像について独自に検証できておらず、これがいつ、どこで撮影されたのかは不明だ。ウクライナ海軍とロシア国防省に電子メールでコメントを求めている。 軍事専門家のデービッド・ハンブリングは、「バンパイアはまさにこの種の対ドローン作戦のために、しばらく前にウクライナに供給されたもので、このように使用されているのは驚きではない」とニューズウィークに語った。 バンパイアを搭載すれば、先進精密攻撃兵器(APKWS)や他のタイプのレーザー誘導弾を発射することができる。映像では、APKWSのロケットがドローンに命中したが、破壊はしていないように見える。ハンブリングは、ドローンを空中から叩き落としたようだと述べた。 ■ロシアはウクライナの迎撃ミサイルを枯渇させる作戦 米国は、ウクライナへの防空支援の一環として、対無人航空機システムのバンパイアを供給している。防空体制を維持し、運用し続けることは、ウクライナにとって最大の懸念事項の1つであり、欧米諸国からの軍事支援の焦点となっている。 ウクライナの広範な防空網には、米国製のパトリオット(ロシアの極超音速ミサイル「キンジャル」を迎撃したとされる)のような大型の砲台や、空中のドローンを標的とする小口径機関砲などがある。 ウクライナ統合軍司令部のセルヒー・ナエフ司令官(当時)は1月上旬、同国には「今後数回の強力な攻撃に耐えられる」携帯式防空システム用の弾薬が十分にあると述べ、ロシアはウクライナの迎撃ミサイルを枯渇させようとしていると主張した。 バンパイアシステムは、ロシアの絶え間ないドローン攻撃に対処する費用対効果の高い方法だとハンブリングは指摘する。同システムのロケットの費用は、地対空ミサイル「スティンガー」などのその他の防空用の軍需品の数分の一で済むという。 ■攻撃と防衛の「消耗戦」が繰り広げられる 「これらのシステムはかなり需要が増えそうだ」とハンブリングは言う。ロシアはシャヘドの国内生産を増やしていると報じられており、「ロシアがウクライナのミサイル供給を枯渇させようとする中、攻撃と防衛の消耗戦が繰り広げられるだろう」とハンブリングは指摘する。 イランが設計したシャヘドは、ウクライナの重要インフラや主要都市を攻撃するためにロシアが以前から使用してきた。シャヘドは防空ミサイルが比較的迎撃しやすいが、探知が間に合わないこともある。 ロシアはシャヘドを国内で製造するための施設を建設し、ウクライナが撃墜しにくいよう設計を変更している。
エリー・クック