強気相場はいつまで続く?…ウォール街の著名アナリストはこう考えている(海外)
投資家が数々の逆風を不安に感じているにも関わらず、株式の強気相場は健在だ。 2024年4月13日、FRBによる利下げの懸念と中東情勢の緊張の高まりを受けて株価は下落した。 だが、ウォール街の専門家たちは、株式の長期的な強気な相場は損なわれない兆候があると述べている。 投資家たちはここ数週間、株価の動向に神経質になっているが、強気相場は脱線していないとウォール街のベテランは言う。 中東紛争の激化と金融政策への懸念が投資家たちの間に広がり、米国株はこの1週間で急落した。2024年3月のインフレ率が予想を上回り、投資家が2024年の利下げ予想を後退させたため、4月10日に主要な株価指数はいずれも下落した。また4月13日にイランがイスラエルを攻撃したことで投資家は米国債などの安全資産に逃避し、株価はさらに打撃を受けた。 しかし、好調なアメリカ経済と人工知能の台頭の可能性を考えると、このような最近の懸念は些細なものかもしれない。つまり、株式の強気相場はまだ終わっていないと話すベテラン投資家もいる。 ウォール街の4人のプロフェッショナルによると、投資家は最近の株価の下落に一喜一憂すべきではないと言う。その理由は以下の通りだ。 トム・リー(Tom Lee):ファンドストラット(Fundstrat)リサーチ責任者 市場調査会社大手ファンドストラットのトム・リー氏によると、2024年3月のインフレ報告は思ったほど悪くなかったため、投資家は株価の下がったものを買うべきだという。 リー氏は、先日更新された動画で、消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率が3%未満の項目が増えたと指摘した。これは2024年3月のアメリカ経済全体の物価が予想を上回ったとしても、インフレ率がアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の物価目標である2%に向けて低下していくことを示す明るい兆候である。 ヘッドラインインフレ率(総合インフレ率)は主に自動車保険の高騰によってもたらされたと同氏は付け加えた。CMEのFedWatchツールによると、市場はその可能性をほぼ排除しているものの、2024年6月の利下げの可能性をがまだあることを示唆していると同氏は述べている。 「信じられないかもしれないが、実は今回の消費者物価指数は非常にいいものだった」とリー氏は言う。 「これはタイミングの問題で、構造的な問題ではないことを示している。つまり、消費者物価指数の上昇を引き起こしている原因は他には何もないということだ」 ジェームズ・デマート(James Demmert):メインストリート・リサーチ(Main Street Research)CIO デマート氏は、株価はまだ長期的な強気相場の真っただ中にあり、最近の調整は投資家にとって最新の買い場であると言う。 「中東情勢の緊迫化、債券利回りの上昇、米連邦準備理事会(FRB)の利下げの遅の懸念が引き金となって、今株式市場は調整局面に入っている。8%から10%の下落は6カ月ぶりで、株価は久々に下方調整の局面に入ってもおかしくない状態にある」とデマート氏は2024年4月16日のメモで述べている 反落の規模は中東情勢の緊迫化が続くかどうかに左右されるが、緊張が高まっても強気相場を狂わせることはできないとデマート氏は示唆している。 デマート氏は、「我々はこの株式市場の調整局面では買い手だ。なぜなら今のメディアでのヘッドラインは恐ろしいものだが、我々は人工知能の力によって新たな強気市場に入ったと考えているからだ」と話している。 「AIが企業全体の生産性を大幅に向上させて収益を強化すると予想されるため、この新たな強気相場はあと7年から9年続く可能性がある」 ダン・アイブス(Dan Ives):ウェドブッシュ証券(Wedbush Securities)アナリスト 最近の逆風にもかかわらず、2024年第1四半期の企業業績が好調に推移していることから、テクノロジー株は上昇を続けるだろうとアイブズ氏は言う。 ウェドブッシュが実施した調査によると、2024年第1四半期のインターネット企業の消費者支出とデジタル広告の成長傾向は「堅調」のようだ。「これは、アルファベット(Alphabet)、アマゾン(Amazon)、メタ(Meta)などの巨大テック企業にとって強気の材料になる可能性がある」とアイブズ氏は言う。 ウェドブッシュは、AI投資の大きな波が株価を押し上げるとも予想している。同社は今後10年間で1兆ドル(約154兆円)のAI投資が行われると予想しており、この数年の間に、第2、第3、第4の波がこのセクターに到来すると予想している。 「最近のリスクオフ環境とテック株の売りは、来たるテック企業の決算シーズンに向けた明らかな買いの機会だと我々は考えている」と、アイブズ氏を始めとするアナリストらは2024年4月14日のメモで述べている。 「消費者物価指数の上昇、銀行業績の低迷、地政学的な懸念が株価を圧迫しているが、全面的に好調になると我々が考えている今後の重要なテック企業の決算シーズンに、今ブロードウェイの舞台と明るい光が向けられている」