世帯年収「1000万円」の夫婦です。育てる子どもが一人なら、現在の暮らしを維持していけるでしょうか?
世帯年収が1000万円もあれば悠々自適な生活を送れそうな印象を持たれがちですが、お金の使い方次第では苦しくなる可能性が十分に考えられます。 特に子育て世帯は、子どもが大きくなるにつれて費用が膨れ上がっていくため、今後の生活にかかるお金を試算してみることが大切です。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる? 本記事では、世帯年収が1000万円あれば、本当に余裕をもって子育てできるのかを考えます。
子ども一人を育てるには500万円ほどの収入が欲しい
まずは、3人世帯の場合、1年間でどれくらいのお金が必要かを確認していきましょう。総務省統計局の「家計調査報告(2023年)」によると、3人世帯の消費支出は月に31万2567円です。これを1年間の消費支出に換算すると、31万2567円×12で375万804円かかることになります。 あくまで3人世帯の平均的な数字から導き出したものなので、単なる目安にしかすぎませんが、子ども一人を育てるには最低でも400~500万円は必要になりそうです。また、親が働けなくなったときや、子どもが病気・けがをしたときなどの不測の事態を考えると、さらにお金が必要となるでしょう。 世帯年収1000万円と考えるとかなり余裕をもって子育てできそうですが、実際には年収から所得税・住民税・社会保険料などが引かれることになります。 年収に対する手取りの割合は年齢や住む地域によっても変わりますが、仮に75%が残るとすると、実質的な収入は750万円です。子ども一人を育てるのに400~500万円必要と考えると、1年間の収入が750万円もあれば十分にゆとりをもてそうです。
子どもの年齢が上がるにつれて教育費が膨れ上がる
ここまで3人世帯の平均的な消費支出から考えてきましたが、子どもが学校に通う年齢になると費用はさらに膨れ上がります。子どもが小さい頃はゆとりある生活を送れたとしても、教育費が家計を圧迫するようになると、750万円の収入では足りなくなる可能性があると理解しておきましょう。 文部科学省の「令和3年度子供の学習費調査」によると、幼稚園から高校まですべて公立の学校に通ったとしても、トータルで600万円近くの教育費がかかるとされています。また、公立大学に進学した場合の教育費は4年間で約250万円です。つまり、幼稚園から大学まで通う場合、子ども1人あたり800万円以上の教育費が必要になります。