県陵生の誇り・応援歌「覇権の剣」 同窓会が調査、戦前の歌集募る 長野県松本市
長野県松本市の松本県ケ丘高校で第二の校歌として親しまれる応援歌「覇権の剣」のルーツを調べようと、同校同窓会が戦前の歌集を探している。同窓会には「覇権の剣」が登場する以前、昭和6(1931)年発行の第1歌集が保管されるが、その後の歌集は戦後を待つまで確認できず、応援の歴史の黎明(れいめい)期が不鮮明という。一方、近年の調査では同校応援歌「信濃健児」の作詞者が判明する成果もあり、今後発行する同校100周年記念誌に反映させる。 槍峯颪(そうほうおろし)身に浴びつ 白樺(しらかば)香る県陵に 印象的な出だしで知られる「覇権の剣」は応援や学校行事にとどまらず、卒業後も重要な式典や同窓会で歌い継がれる県陵生の心だ。しかし第1歌集に掲載はなく、戦後の歌集に作者不詳の形で登場しており、いつ、誰によって書かれたか経緯は分かっていない。 同窓会では数年前から、応援の歴史に関わる情報収集に力を入れてきた。昭和11年ころ歌集の第2集が発行されたとみられており、前身となる旧制松本第二中の卒業生の遺族らにも連絡するなどして現物を募っている。創立100周年の記念誌が近く発行されることから応援歌の歴史にも触れたい考えという。 取り組みの中で応援歌「信濃健児」は県歌「信濃の国」を作詞した教育者・浅井洌によって書かれたことなどが分かった。応援旗についても少しずつ往時の様子が分かってきており、引き続き当初の応援スタイルについても調べを進める。 昭和11年発行の同校「興風会規定」には運動部の応援に限らず「校風ノ向上発展ニ力ヲツクサン事ヲ期ス」と記した「応援ニ関スル心得」が載る。常盤欣司・同窓会事務局長(83)は「県陵生の絆は応援歌によって深まった。歴史をひもときたい」と話している。 情報は同窓会(電話0263・32・0666)へ。