習近平の経済無策で「排外主義」が止まらない…!「長期停滞」と「過剰労働力」で大量に生み出される「ナショナリズム」の危険な実態
習近平への失望はつづく
中国政府の景気刺激策に対する海外からの不満が高まる一方だ。 10月22日に開かれた国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会の記者会見で、イエレン米財務長官は「中国の国内総生産(GDP)に占める個人消費の割合を高めることが非常に重要だが、今のところこれに対処するような政策はない」と述べた。 【写真】これはヤバすぎる…!中国で「100年に一度の大洪水」のようす 会議を主催したIMFのチーフエコノミストも「中国人民銀行が打ち出している一連の金融緩和策は、中国経済の成長を押し上げる効果はほとんどない」と否定的だ。 米ウォール街も同様の論調だ。 米JPモルガン・チェースは「中国が最近打ち出した一連の景気対策は、幅広く景気を刺激することより、リスク軽減が目的だ」とした上で「『中国が消費と内需を重視する姿勢を強める』と考える投資家の失望は続くだろう」との見解を示している(10月23日付ブルームバーグ)。 中国経済を長年ウオッチしてきたスティーブン・ローチ氏(元モルガン・スタンレー・アジア会長)は「中国経済は日本の『失われた30年』に非常に似た状況にあり、金利を引き下げても経済を刺激することはできない」と指摘している。 10月17日付ウォール・ストリート・ジャーナルは「習近平国家主席が望んでいるのは破綻寸前の地方政府の救済と株式市場の浮揚であり、国家主導で自国を産業・技術大国にする方針からそれることを望んでいない」と報じた。
長期停滞で「絶望の若者たち」
消費の拡大が喫緊の課題であるのにもかかわらず、中国指導部は「投資と生産は美徳であり、消費と所得再分配は軽薄だ」と考えているように思えてならない。 中国では11月11日の「独身の日」に向けた毎年恒例の商戦が始まっているが、「売上高が前年比で横ばいが関の山」との悲観的な予想が大勢だ。「催事をあおっても消費者はもはや買い物をしない」との嘆き節が聞こえてくる(10月22日付ロイター)。 米コンサルティング大手マッキンゼー・アンド・カンパニーは「中国の消費者マインドの低迷は今後1年半続く可能性がある」と予測しているが、日本の例に照らせば、中国の消費不況は10年以上続くと見た方が妥当だろう。 改革開放以来、最悪の不況に陥っている中国で民心の荒廃は進むばかりだ。
デジタル・ナショナリズムが向かう先
こうしたなかでつづいているのが、中国人男性による外国人の襲撃だ。 深圳で日本人男児が刺殺された事件をめぐっては、中国のネット上にあふれる外国人排斥を訴える投稿がその背景にあると指摘されている。 中国政府が「デジタル・ナショナリズムを放置している」という批判は、広がる一方だ。厄介なのは、中国人による外国人を攻撃する事件が中国国内にとどまらず、世界中で起こりはじめていることだ。 その状況については、後編記事『中国・習近平が生み出した「余剰男」たちが暴走…!「長期停滞」と「排外主義」のヤバすぎる関係と「デジタル・ナショナリズム」が“日本へ飛び火する日”』でじっくりとお伝えしていこう。
藤 和彦(経済産業研究所コンサルティングフェロー)
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