富山県内、駆け込み給油に長い列 政府の補助金減額で
政府の補助金減額でガソリンや灯油などの燃油価格が19日以降に値上がりする見通しから、富山県内のガソリンスタンド(GS)には18日、駆け込みで給油する客が列をつくった。物価高騰の中で追い打ちとなる値上げに、客からは「車やストーブは使わざるを得ず、使用量も減らせない」「家計は苦しくなるばかり」といった声が聞かれた。 政府は現在、レギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格が「175円程度」を上回らないよう、石油元売りなどに補助金を出して卸値を抑えている。19日からは段階的に補助金を減らし、来年1月中旬をめどに、抑制の目安を「185円程度」に引き上げる。経済産業省が発表した12月16日時点の県内の平均小売価格は176円60銭だが、19日以降は5円前後の値上げが見込まれる。 18日午後4時ごろ、富山市内のGSには、値上げ前に給油を済ませようとする車で行列ができた。1歳と3歳の2人の子どもを育てる女性(34)は「友人から値上げの情報を聞き、急いで来た。子育てにお金がかかる中、値上がりは困る」と話した。配送業の男性(67)は「今後は配達のルートや頻度を工夫しなければ」と悩ましげだった。
ガソリン以外の燃油にも影響が及ぶ。灯油を買いに来た男性(74)は「寒くなり、暖房はほとんど一日中つけっぱなし」。2人暮らしで週に約20リットルの灯油を使うと言い、「冷えると骨が痛む。高くても使う量は減らせない」と話した。 GSからは給油控えや反動減を懸念する声が上がる。長距離移動が増える年末年始は書き入れ時といい、同市のENEOS中川原サービスステーションの中村進マネジャーは「今値上げすれば遠出を控える動きが出るかもしれない。補助金の減額はせめて年明けにしてほしかった」と話した。 県石油業協同組合では、12月上旬から加盟店舗257店で利用者に値上げを案内するチラシを配布した。補助金は19日と来年1月16日に分けて段階的に減ることから、担当者は「今後も情報を正しく伝えて、利用者が損をしないようにしたい」と話した。