遅れる今年の梅雨 最盛期は大雨に警戒 今年も暑い夏 過去30年にはなかった特徴も
暑さをもたらす原因は? エルニーニョ現象からラニーニャ現象に移行
通常は偏西風が平年より南を流れる時は低温傾向になることが多いですが、今年の梅雨は違います。エルニーニョ現象が発生した翌年は、地球全体の温度が上昇することが知られています。これに加え、地球温暖化の影響が、今年の梅雨の期間も高温傾向になる原因です。 今後、秋にかけてラニーニャ現象が発生する予想です。 梅雨が明け、盛夏到来の頃になると、ラニーニャ現象の影響が顕著になるでしょう。太平洋高気圧は北へ張り出しを強め、偏西風は平年より北を流れるようになります。例年以上に厳しい暑さになる原因の一つです。
ラニーニャ現象 太平洋赤道域の西側の水温 過去30年で最高になる予想も
「ラニーニャ現象」が発生するのは、太平洋赤道域です。このあたりは貿易風と呼ばれる東風が吹いているため、通常、暖かい海水は西側のインドネシア付近に吹き寄せられる一方、東側の南米沖では、海の深い所から冷たい海水がわき上がっています。 ただ、何らかの原因で東風が強まると、西側の暖かい海水が厚く蓄積するとともに、東側にわき上がる冷たい海水の勢いが強まり、南米沖の海面水温が通常より低くなります。このように、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて、海面水温が平年より低くなり、その状態が1年程度続く現象を「ラニーニャ現象」と呼びます。 通常のラニーニャ現象では、太平洋赤道域の西側では、海面水温が平年より高くなります。 今後、ラニーニャ現象の発生に伴い、太平洋赤道域の西側の海面水温は、過去30年で最も高くなる、もしくは過去の最高に匹敵するほど高くなる予想です。
日本気象協会 本社 白石 圭子