横浜DeNAの中畑監督辞任へ。後任最有力は番長三浦。
横浜DeNAの中畑清監督(61)が今季限りでユニホームを脱ぐ意思を固めたことが1日、明らかになった。就任4年目となる今季は、開幕から強力打線の爆発もあってセ・リーグの台風の目となって快進撃したが、交流戦で引き分けを挟んで12連敗をするなど貯金を吐き出し、前半戦はなんとか首位で折り返したが、後半は大失速。球宴期間中に南場智子オーナーから続投を要請されたが、「この世界は結果がすべて。今の段階で軽々しくお答えするわけにはいかない」と返事を保留していた。 私の取材に対しても「4年連続でCS出場を逃して、来年も頑張りますとはいかない。もし最下位になるようなら、責任を負う覚悟がある」とハッキリと断言していた。 9月29日の阪神戦では、同点で迎えた9回に、振り逃げ、エラー、捕逸という、ヒット無しの草野球並みのとんでもないミスのオンパレードでサヨナラ負けを喫して最下位に転落。ついに辞任の意向を強く固めた模様だ。 球団サイドは、今季、本拠地の満員が42試合に達するなど、右肩上がりの増えている観客動員に関して、中畑監督のキャンプでの話題つくりや、ファンサービス、その明るいキャラクターが大きく寄与していることを評価。4年連続のBクラスとなっても続投方針を固めていた。南場オーナーの意向が強く反映されたものだが、一方で、球団内部には敗因にベンチワークのミスや、細かい野球に関する技術指導の徹底が欠け、教育不足が見られることから、中畑監督の続投に疑問を投げかける声もあった。近日中に設けられる中畑監督と南場オーナーの会談の場で、南場オーナーは強く慰留に働きかけるが、最終的には、中畑監督の辞任を承諾するものと見られる。 その場合の後任候補として最有力は、番長の愛称でファンから親しまれている三浦大輔投手(41)の兼任監督案だ。三浦氏は、昨季から投手コーチを兼任、すでに指導者の道を歩み出しているが、その若さと明るいキャラクター、練習に対しても妥協を許さない厳しい姿勢を高く評価している。横浜DeNAでは、旧態依然とした球界の体質に染まっていない新しい指導者像を思い描いていて、そのイメージにも三浦はピタリとあてはまる。ファーム調整中も、1軍のファンサービスに参加するなどファン第一の球団姿勢も理解している。 ただ、今季は、シーズン途中からローテーションに入り、6勝5敗、防御率3.98の成績を残すなど、その円熟のピッチング技術は健在で、まだ来季も戦力として期待されている。その場合、兼任監督となるか、ピッチャーの兼任監督が可能かどうかの議論も必要になってくる。 中日では谷繁監督が兼任監督を2年行ったが、野手でさえ兼任では監督業に専念できない歪は見られた。先発ピッチャーは、登板日以外は監督業に集中できるだろうが、登板前日などのメンタル面も含めたコンディション調整には大きな影響を与える。ピッチャーの兼任監督となると、1970年から72年途中まで務めた阪神の故・村山実氏以来で、最後はシーズン途中にヘッドコーチに監督職を譲るような事態も招いた。それほど困難であることは間違いなく、三浦を抜擢する場合は、経験豊かなヘッドコーチを置くなど、サポート体制も必要になってくるだろう。三浦自身が、現役の間は引き受けないことも考えられるため、後任監督は複数の候補の中から絞られていくことになる。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)