海外での腎臓移植を望む50代女性が陥った“罠” 海外「臓器売買」の闇を追う調査報道のきっかけ
NPOの仲介で現地入りしていた他の日本人患者2人と一緒に飛行機に乗り込んだ。病院に置いてあった荷物はNPO職員が持ってきてくれた。 1時間余りのフライトでキルギスの空港に降り立つと、首都ビシケク市内にある病院に案内された。コーディネーターのトルコ人が民間の病院を借り切ったとのことで、慌ただしく移植用の医療機器が運び込まれていた。 日本人患者はさらに1人合流し、本田を含めて4人になっていた。他の3人はいずれも中年の男性で、全員が腎臓を病んでいた。
ドナーのエレナも、トルコ人とともにタシケントからビシケクに移動し、同じ病院の同じフロアに入院した。 トルコ人が手配した医療チームは、執刀医のエジプト人男性と、トルコ人の仲間の腎臓医、麻酔医、看護師らがメンバーだった。院内には、NPOとは別ルートでトルコ人が案内したと思われる外国人患者たちがおり、同様に腎臓移植を待っていた。 日本を発ってから、もう半年たっていた。ちゃんとした手術を行ってもらえるのかどうか不安はあったが、すでにドナーも目の前にいる。
本田の胸中には「手術を受けるのなら、今しかないのではないか」との思いが強まっていた。結局、手術を受けることを決断した。 (後編に続きます)
読売新聞社会部取材班