7回途中降雨によりコールドとなり、悔しそうな表情でベンチを出るオリックス・宮城大弥　＝楽天モバイルパーク（撮影・土谷創造）

（パ・リーグ、楽天1－8オリックス＝七回表1死降雨コールド、25回戦、オリックス15勝10敗、6日、楽天モバ）雨に負けた。オリックス・宮城の頰はぬれていた。雨粒なのか、それとも－。4年連続の規定投球回と自身初のタイトルとなる最優秀防御率の〝二兎〟を追って、どちらも逃した。打たれたわけじゃない。だから、悔しさをどこにぶつけていいのか、分からなかった。 【写真】ドジャース・山本由伸らとボクシングの試合を観戦するオリックス・宮城大弥 「もっと何とかしたかった、というのはありますけど、仕方がないかなと思います」 今季最終戦でマウンドの土がぬかるむ中、三回まで完全投球。防御率でソフトバンク・モイネロを抜くためには7回⅓を投げて規定投球回に到達し、自責0の必要があった。自責1でも、8回⅓を投げればよかった。 女房役の若月が二回に満塁弾を放って援護してくれた。最大のピンチが訪れたのは四回。左翼手・西川が目測を誤るなど1死一、三塁とピンチを広げ、浅村に犠飛を許した。それでも、最少失点で踏ん張った。このままいけば…。降雨により、オリックスが七回の攻撃中だった午後8時25分に中断。約40分後、審判団の判断で降雨コールドが宣告された。6回1失点で今季7勝目を挙げたが、ベンチで唇をかみながら、何度も何度もタオルで顔をぬぐっていた。 「今の状態であったら球数的にも余裕がありました。絶対行けたという自信、本当にそれしかなかったんですけど…」 ファンにあいさつをした後、中嶋監督からねぎらわれた。「こういうこと、あるんだな。来年もしっかりやろう」という声が身に染みた。開幕投手を務めたが、5月に左肩付近に強い張りを感じ、左大胸筋の筋挫傷と診断され、戦線離脱。「張り切りすぎた」。山本が米大リーグ、ドジャースに移籍。穴を埋めてリーグ4連覇を目指したが空回りしてしまった。 「積み重ねてきたものが　また崩れることになる。けがをしない体作りだったり、トレーニングしながら、もっとレベルアップしていきたい」 高卒5年目で通算42勝目。これまでで、最も悔しい1勝。ここから宮城がまた強くなっていく。