候補は民主党? 自民党? 北九州市長選で話題の政界「相乗り」「鞍替え」事情
「相乗り」だけでなく、候補の側が自らの都合で政党を移る「鞍替え」「渡り鳥」も珍しくありません。 2012年12月の衆院選では、大阪14区の構図が話題になりました。前職2人が所属政党を「自民→維新」「民主→自民推薦」へと変えてしまい、大阪の有権者から「ええかげんなやっちゃな」との批判が出たからです。2005年の「小泉郵政選挙」では、最終的に京都6区から出馬した自民の女性候補が、民主党の鳥取1区の公募にも応募。同じ選挙に大阪2区から出馬した自民党候補は、その一つ前の国政選挙では、民主党候補として別の選挙区で立候補していました。 このような事例は国政でも地方でも、頻繁に起きています。閣僚経験者で著名なのは、第1次安倍政権で防衛大臣を務めるなどした小池百合子氏。ニュースキャスターを経て政界入りした後は「日本新党→新進党→自由党→保守党→自民党」と渡り歩いています。
候補者自身は「相乗り」「鞍替え」をどう考えているのでしょうか。自民党の自治体議員を辞め、民主党から国政に打って出た経験を持つ人物は「民主の方が自由に仕事できる。一生懸命に仕事するのであれば、政党は関係ない」。また、官僚出身の自民党国会議員は「自分の考えを政策として実行したいから、政権与党を選ぶ。選択肢は自民党しかなかった。10年近く前なら、政界転身を考える官僚仲間の間では、民主党の人気が高かったけれど」と言います。 現代においては最早、「政党の違い」は「政策の違い」とイコールであるとは言い難く、「政策の違い」は「公認や支持、推薦」とストレートに結びつきません。特に地方政治の下では、その傾向が著しいと言えるでしょう。 国政レベルでは、官僚出身者や2世議員が目立ってきました。地方でも官僚経験者が首長になる例が増えています。抽象的なイデオロギー論争は姿を消し、より綿密で具体的な政策立案が必要になってきた現代。有権者も「政策通」になる必要はありますが、まずは候補者が政党との関係をわかりやすく、きちんと示す必要がありそうです。