東大アメフトRBの思考法「正解が見つからなければ正解にしてしまえばいい」 どん底で見つけた、無駄な迷いを消す悟り
3連続キャリーで決勝TD しかし全国大会には届かず
タイブレークで先攻となった東大は、フレックスボーンからのランでコンスタントにエンドゾーンに近づき、最後は中村が2ydを押し込んだ。TFPのキックも決まり、7点を先取。後攻の慶應は3プレー目に松本が久保に23ydのTDパスをヒットし、TFPも確実にキックを決めて延長は2回目へ。 先攻の慶應は最初のシリーズを3度の攻撃で更新できず、37ydのFGで3点を追加。後攻の東大は、ランで着実にボールを進めた。ゴール前でRB山川が3回連続でボールを持ち、5yd、5ydとボールを進め、最後はエンドゾーンまでの3ydを走り込んだ。決勝のTD。延長2回を終え、13-10東大がリーグ戦3連勝を決めた。 全国トーナメント出場のためには、東大は14点以上の差をつけて慶應に勝つ必要があった。選手らは、試合に勝った喜びと、甲子園ボウルへの道が絶たれた悔しさの涙にくれた。
みなぎった自信「俺にボールを集めてくれ」
ミスが減り、着実に力強さが増した。東大ウォリアーズは序盤戦で立教大学、早稲田大学、法政大学に負けたが、そこからの巻き返しが鮮やかだった。4節の明治戦はタイブレークでの勝利。5節の中央戦は35-15とダブルスコアで完勝した。そして、慶應戦では第4Q終盤に攻め込まれた中でも集中を切らさずにボールを奪い、今シーズン2つ目のタイブレーク決戦に持ち込んだ。 東大オフェンスは、慶應の総獲得349ydに対して155yd(パス獲得は0yd)と獲得距離で大きく下回ったが、フィールドポジションと勝負所を押さえる集中力で勝負をものにした。 フレックスボーン隊形から繰り出すオプションのランプレーは力強く、RB陣の確信に満ちた走りでボールが進む。中でも、勝負を決めた山川の走りは印象的だった。決勝TDを決めた山川は、ボールを誇らしく掲げながらサイドラインの仲間の元へ。RBとして大きな体ではないが、まとう雰囲気からは自信がみなぎっていた。 「タイブレークは、コーディネーターに『俺にボールを集めてくれないか』って伝えていました。もうとにかくやってやるって。自分がキャリーするプレーコールが出た時には、もうワクワクしていましたね」。山川が決勝のシーンを振り返る。そして続ける。 「(TDまで)3ydだったんで、絶対取りきれる自信がありました。第3Qのはじめに、3rdダウン3ydで自分がキャリーして、取りきれなかった悔いがずっとあったので。とにかく、絶対に取り返してやろうって考えてました」 感情をぶつけるように、そうまくし立てた。