ロシアの飛び地領「カリーニングラード」駐屯のGRU特殊部隊、欧州諸国への破壊工作に向け不気味な訓練
■ 破壊工作の訓練を受けるカリーニングラードのGRU特殊部隊 英国はスパイの取り締まりを強化するため23年国家安全保障法を同年7月に制定した。 外国勢力の指示により英国内で政治的影響力を持つ活動を行うには外国影響力登録制度に基づく登録が必要となった。無許可で営業秘密を取得・開示したり、外国情報機関を実質的に援助する意図で行為したりすることも犯罪に問えるようになった。 MI5は23年国家安全保障法をフル活用するとともに、重要な国家インフラを強化するため活動している。「攻撃の危険にさらされている恐れのある人々を保護したい。企業や公的機関が直面するリスクについて考えることを強く勧める」とマッカラム長官はいう。 チェコ、ポーランド、ハンガリー、スロバキアの中欧4カ国の独立系調査報道プラットフォーム「VSquare」は24年10月30日、「リトアニアとポーランドに挟まれたロシアの飛び地領カリーニングラードのロシアGRU特殊部隊が破壊工作の訓練を受けている」と報じている。 ポーランド国境から車でわずか1時間半。カリーニングラードのパルスノエ村にロシアGRU特殊部隊が駐屯している。水中、海上、陸上、空中作戦に長けた選りすぐりの精鋭部隊だ。ポーランドやバルト三国への攻撃を想定して、破壊工作員の訓練が行われているという。 カリーニングラード
■ ポーランド外相「ロシアはさらなる攻撃を計画している」 24年、ポーランド治安当局はカリーニングラードで登録された携帯電話を持つ男を拘束し、ポーランド国内の大規模化学工場への攻撃計画を阻止した。男は「アレクセイ」と呼ばれる謎の連絡相手からメッセージアプリ、テレグラムで放火攻撃の指示を受けていた。 ポーランドのラドスワフ・シコルスキ外相は「われわれは欧州全土で同様の放火事件を目の当たりにしている。ロシアはさらなる攻撃を計画している」と警戒感を募らせた。カリーニングラードを出撃拠点にGRU工作員が関与している可能性は否定できない。 デンマークのトロエルス・ルンド・ポウルセン国防相は24年2月、「3~5年の間にロシアが5条(集団防衛規定)とNATOの連帯を試す可能性は否定できない」と最新の評価を明らかにした。孤立主義者ドナルド・トランプ米次期大統領の復活で欧州の危機感は膨れ上がる。 ロシアの戦力はウクライナ戦争で大幅に低下した。「戦争前でさえクレムリンはNATOの連合軍に太刀打ちできなかった。そのため直接対決を避けなければならない。直接的な攻撃に先立つ最初の一手は不規則なものになる可能性が高い」とRUSIのモーリー=デイビーズ氏は予測する。