弱視の兆候「テレビを近くで見たがる」「目を細める」「まばたきが多い」…健診を待たず受診を
「おめめの写真を撮るよ」
福岡市の健診会場で11月、看護師が呼びかけると、女児が機器を見つめた。異常なしとの結果が示され、数秒で終了。母親(38)は「早いうちに異常を発見できるのなら安心」と語った。
同市では家庭でチョウなどの絵を見せて名前を答えさせる検査を実施しているが、3歳児は言葉で表現するのが難しいといった課題があり、2023年秋から機器での検査を追加した。
機器は遠赤外線を利用し、屈折異常のほか、斜視の有無も判定できる。同市では導入前の4年間で精密検査が必要と診断されたのは平均3・4%だったが、23年度は6・5%とほぼ倍増した。
日本眼科医会の全国調査によると、機器の導入自治体は21年の28%から23年は74%に上昇した。国が22年度に導入経費の補助を始めたことが追い風になっているという。ただ、地域で差があり、23年の調査で佐賀県では全自治体が導入する一方、沖縄県は半分程度にとどまっていた。
同会の近藤永子・常任理事は「どの地域にも弱視の子はおり、誰一人取り残さないことが大事。地域差を解消できるよう取り組んでいきたい」と話す。