アピ、ドリンクのOEM事業が好調 処方開発から原料加工で飲料を差別化
健康食品受託製造最大手のアピは、ドリンクのOEM事業が好調だ。中でも受注が増加しているのが、リトルPET入り飲料だという。同社では、飲料・ペースト・ゼリーの製造において、多様なニーズに応えられる剤形バリエーションを提案できる。処方開発で差別化を図れるのはもちろん、原料加工でひと手間を加えることにより、製品に付加価値を創出し、差別化することも可能だという。 <高級感演出できるリトルPETのOEMが好調> 同社では、リトルPET入りショット飲料のOEMが好調だ。 リトルPETは、肉厚で高級感を演出できる小型ペットボトル。機能性飲料の差別化に貢献する。 肩口までのセミシュリンクや、キャップ上部までのフルシュリンクをかけて、高級感をさらに向上させることもできる。 50、65、100ミリリットルならば汎用容器での対応が可能だという。 「扱いやすい」点も高評価を得ている。リトルPETは、高所から落としても割れたり凹んだりしない耐衝撃性を持つ。軽量で、高い携帯性を備えている。 同社では日産15万本以上の製造が可能だ。3万本(30本入り1000ケース)の小ロットにも対応できるとしている。 リトルPET以外にも、幅広い剤形の飲料・ゼリー・ペースト製剤の製造に対応できる。 飲料関連では、小ビン(30、50、100ミリリットル)、大ビン(180~900ミリリットル)から、ブローパック(0.5~20ミリリットル)、アルミ缶(100、120ミリリットル)、液体三方(3~50ミリリットル)までの製造に、自社工場で対応できる。 大ビンは、丸ビン・角ビンにも対応できる。高粘度原液の充填も可能だ。 同社が対応可能なブローパックは、密閉性が高い樹脂容器。成分を濃縮した液体サプリなどに最適だという。 なお同社では、蜂蜜などの粘度の高い液体を、とんがりキャップなどの広口容器に充填することもできる。 <多様な原料加工に役立つ設備・技術・実績備え> 同社では、多様な原料加工に役立つ設備・技術と実績を持っており、OEM供給する飲料製剤の差別化・高付加価値化に大きく貢献するという。 より具体的には、①抽出②真空濃縮③ろ過・精製④発酵・酵素処理⑤微粒子化⑥乳化⑦フリーズドライ(凍結乾燥)⑧スプレードライ(噴霧乾燥)⑨セントリドライミル(瞬間乾燥)⑩特殊素材加工・糖化――といった分野で独自の技術力に磨きをかけている=図。こうした技術力を組み合わせて使用することも可能だ。 機能性原料に、「ナノマシンによる微粒子化」「酵素処理によるペプチド化・低分子化」「発酵法による機能性の向上」「高圧乳化による油溶成分の水溶化」などの原料加工を施すことにより、差別化することを提案できる。原料に「微粒子化」や「低分子化」の加工を施すことで、吸収性の向上を期待できるという。「発酵」によって、機能性が大幅に高まるケースもあるとしている。 アピが自社工場に導入している、独自の特殊素材加工の設備を用いれば、原料の「加水分解」を行うことも可能だ。アレルゲンフリー食品やPBF(プラントベースフード、植物性食品)の開発に役立つ技術としても注目されている。 同技術を応用すれば、オリジナルの植物性ミルクの開発も行える。同社では、オーツミルクの原料となる「OAT(オーツ)糖化液」の供給を行っている。 付加価値の高い独自素材を配合することにより、最終製品の価値の大幅な向上を期待できる。原料加工は、「ヒットする可能性が高い健康食品」の開発・製造に貢献する取り組みとして、高く評価されているという。 これらの開発した新原料については、同社の研究拠点「長良川リサーチセンター」で、機能性・安全性のエビデンスを取得するといったことも可能。特定のクライアントのために、植物素材などから、独自性の高い機能性成分を抽出し、「留め型原料」を開発した実績も多数持っているという。 同社の多様な技術力を駆使すれば、オリジナリティーの高い、差別化された健康・機能性飲料の開発が可能になりそうだ。 <「API’s CF」が充実した開発提案力を下支え> 処方の開発・提案力の高さも同社の強みとするところだ。作用機序(メカニズム)に着目し、エビデンスベースで処方設計・製品開発を行うプロジェクト「API’s CF(以下CF、アピズシーエフ、コンセプトフォーミュレーション)」が、同社の充実した開発提案力を下支えしている。 CFでは、健康・美容に関する悩み・コンセプト別に、作用機序を、提案資料の形でまとめ、分かりやすく〝見える化〟する。CFの制作は、同社の専門研究員が学術論文などのエビデンスに基づき行う。 CFを活用することにより、エビデンスに基づいた、効果・体感を重視した製品設計が可能になる。ドリンク製剤についても、CFを使うことにより、ターゲット・訴求・価格帯などを踏まえた配合素材を選定できるようになる。 各社のニーズに合った最適な最終製品を提案できるという。 11月20日からの「ドリンクジャパン」にも出展 同社では11月20日~22日の3日間、千葉県の幕張メッセで開催される展示会「ドリンクジャパン」にも出展する。展示内容は①機能性ショット飲料の各種OEM/ODMの紹介 ②飲料に特化した原料加工技術の紹介 ③新規開発原料「EX―OATα」を用いたアプリケーションの紹介――の3点だという。 ③については、「植物性ヨーグルトドリンク」と「オーツミルク(コンクタイプ)」の2品をメインに展示するという。 「植物性ヨーグルトドリンク」には、EX―OATαを、ヴィーガン対応が可能な乳酸菌スターターで発酵させた発酵液を配合。一方で、乳由来成分は一切含まないとしている。 「オーツミルク(コンクタイプ)」は、「誰もが手軽に簡単に」をコンセプトにした、濃縮タイプの調整オーツミルク。水で割るだけでおいしいオーツミルクを作ることができるという。 両品とも現地で試飲が可能だとしている。 タンパク(15グラム)配合のリトルPETドリンクの配布サンプルも準備しているという。
日本ネット経済新聞