「有権者はテレビよりSNSを信用した」斎藤前知事再選にみえたメディア問題 事実に基づく情報どう届ける
■「有権者の皆さまの求めていることを満たせなかった」と太田昌克氏
【共同通信社編集委員 太田昌克さん】「私もメディア人、言論人の一人として思いますのが、有権者の皆さまの求めていることを満たせなかった。そして私たちがより積極的、能動的に情報発信をどこまで行たのか。法律の規制の問題もある中で、そこは私たち今一度、謙虚にならなきゃいけないし、自分たちの報道のあり方を検証する必要があると思います。 一方で『メディアvsSNS』みたいな二項対立、分断の状況を作るのではなくて、大切なことはお互いが切磋琢磨し合いながら、民主主義の主人公である有権者の皆さんに、ファクトベースの情報を提供していくことなんです。 今回忘れてはならないのは、斎藤さんが予想外の主張が浸透した結果、おそらく当選されたと思う反面、それ以外の候補に票を投じている方が兵庫県民の半数以上いた。すなわち有権者で投票所に足を運んだ方の半数以上が、斎藤さんに『ノー』をつきつけている。このもう一つの現実もしっかり私たちは見つめる必要があるんじゃないかと思います」
■告発文問題「今のメンバーで続ける百条委員会に正当性は?」と吉村洋文氏
斎藤さんが出直し選挙で知事に返り咲いたとことになりますが、まだ数々の疑惑は残っていて、告発文の検証がこれからも行われていきます。 疑惑を調査する百条委員会ですが、当初年内をめどに報告書を取りまとめる予定でした。けれども知事選の影響で来年以降に延期も考えられるということです。 今日、日本維新の会の吉村洋文共同代表は、「全会一致で不信任を出した今のメンバーで続ける百条委員会に正当性があるのか?」と問題提起しました。 ただ吉村共同代表は百条委員会を続けること自体を否定しているわけではありません。
【前明石市長 泉房穂さん】「今回は失職しての知事選でしたから、4年間の任期の新たなスタートという面ももちろんありますけど、もう一つは9月の不信任の前に戻った状況もある。百条委員会の継続の問題とか、第三者調査委員会が継続している問題があります。 今回、私としては多くの世論が、どちらを信じていいか分からない状況になっています。やはり事実が今回のSNSにあったような、『斎藤さんは“はめられて”被害者なんだ』ということが事実なのか。そうではなく斎藤さんにも問題があったということが事実なのか。 そこはいずれにしてもしっかり検証する必要があり、私はテレビ局も他人事ではなく、テレビ局も私も含めてですけれど、かなり斎藤さんに問題ありのトーンで報道したという責任もあります。そうだったのか、そうでなかったのかはテレビ局そのものもしっかり検証する必要があると、私は思っている立場です」 7つの疑惑がまだ残っているという段階。百条委員会、第三者委員会で調査が進んでいくことになります。 【共同通信社編集委員 太田昌克さん】「吉村さんが言っていることは、もっともだと思うんです。真実がどちらか分からないんだと有権者の方が迷われたと思うんです。ネットの情報に頼った方もいた。 それはファクトがきちんと確立する前に不信任案を可決してしまった議会の責任も問われてくるし、議会のやり方が本当に良かったのかということも検証されなくてはいけない。 それから何より大切なのは、本当にどっちだったのかっていうことをですね、ファクトというのは白黒じゃないと思うんですよ。いろんな事情があって、多層的に事実が積み重なっている。丁寧に、客観的に、きちんと証拠を一つ一つ積み重ねながら、やっぱり時間がかかってもいいから、県民の皆さんが分かるようなファクトを、百条委員会や第三者委員会できちんと出すことが何より大事だと思います」 (関西テレビ「newsランナー」 2024年11月18日放送)
関西テレビ