三島喜美代の名言「ゴミからゴミを作る」【本と名言365】
これまでになかった手法で新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。新聞や空き缶、ゴミなどを陶を使って表現し、日常に溢れる情報や大量消費社会に一石を投じる現代作家の三島喜美代。晩年90歳を越え、さらなる脚光を浴び、2024年6月に91歳で亡くなるまで意欲的に活動を続けてきたる彼女の作品には、圧倒的なユーモアとエネルギーが込められています。 【フォトギャラリーを見る】 ゴミからゴミを作る 1950年代、絵画を出発点に現代作家としての活動を始めた三島喜美代。「新聞、割れたら面白いなとふと思った」ことから、新聞紙や雑誌といった印刷物を陶で表現。そして、「ゴミからゴミをつくる」と公言し、自分で収集したブリキ缶や鉄屑、廃車のパーツなど廃材を作品に取り込むようになる。 「ゴミはその土地の残骸みたいなもので、暮らしぶりが表れる。そして作品は私の考え、生活から出たもの」と言い、ゴミを社会の現実の反映と捉え、そこに眼差しを向けて作品を作り続けきた。 拠点は大阪・十三。「自身の作品を通してゴミ問題をユーモアをもって感じてもらえたら」と遊び心を忘れなかった。代表作で知られる《20世紀の記憶》は、床にレンガブロックがぎっしりと敷き詰められた大規模なインスタレーションだ。過去のインタビューでは「今も変なものを作ろうと思ってわくわくしている。みんなが『何やこれ』というのを聞きたい」と答えた。2021年、森美術館で開催された「アナザーエナジー展」では圧倒的なスケール感で多くの人を惹きつけ、23年には国内初となる美術館での個展を岐阜県で開催。今年に入って初めて東京の美術館でも個展を開いた。同展示の作品集である『三島喜美代―未来への記憶』は見るものを驚かせて続けてきた彼女の創作の軌跡を辿る。死の直前までアグレッシブに活動を続けた彼女のエネルギーを刮目したい。
みしま・きみよ
1932年大阪府生まれ。現代美術家。1950年代、絵画を出発点に活動をスタート。70年代から“割れる印刷物”を手がけ、注目を集めるように。半世紀を越えた現在も、大阪・十三を拠点におきながら、情報やゴミなどの問題意識に目を向け、パワフルに創作活動を続ける。2024年逝去。
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