夫の退職後、専業主婦は年金を繰り上げたほうがいい?
会社勤めをする誰にも、やがて訪れる定年という一大事。 年金について、知らないと大損する可能性も!? マネージャーナリストで弁護士の板倉京さんに教わります。
Q.専業主婦は年金を繰り上げたほうがいい?
A.夫が先に亡くなると想定した場合、老齢基礎年金を繰り下げて増やしておく。 夫の退職後、専業主婦の妻の年金は繰り上げて家計の足しにすべき? そうとも限りません。会社員だった夫が妻より早く亡くなるパターンは少なくありません。そうなる可能性が高いという場合、妻の老齢基礎年金は逆に繰り下げることをおすすめします。 夫の老齢基礎年金は夫が亡くなった時点でストップします。一方、夫の老齢厚生年金はその約75%が遺族年金として妻に支払われることになります。夫婦2人でもらっていたときより年金収入は少なくなるので、その差額を妻の老齢基礎年金アップでカバーするのです。 妻が70歳のときに夫が亡くなったとして、そのときから繰り下げた年金を受け取り始めると、もともと仮に月額6万円だった老齢基礎年金は42%増えるので約8万5000円になります。65歳以上は年間110万円の年金収入までは税金がかからないので、この金額なら税金はゼロ。また、遺族年金も非課税です。 夫婦共働きだった場合は、妻の老齢厚生年金は繰り上げ、夫の死亡時に遺族年金に切り替えて、老齢基礎年金だけを繰り下げる方法もおすすめです。
板倉 京 さん いたくら・みやこ マネージャーナリスト、税理士 ウーマン・タックス代表。大手会計事務所、財産コンサルティング会社勤務などを経て税理士事務所を開業。『定年前後のお金の正解』など著書多数。
イラストレーション・SANDER STUDIO 文・石飛カノ
『クロワッサン』1111号より
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