65歳以上の38.1%が「住民税非課税世帯」に…「無職・夫婦世帯」の平均貯蓄額はいくら?国民年金・厚生年金の平均月額もチェック
65歳以上・無職夫婦世帯「毎月の生活費」はいくら?赤字はあたりまえ?!
最後に、老後の生活費も見ておきましょう。 総務省の「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」より、「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の家計収支を見ていきます。 ●65歳以上・無職夫婦世帯の「毎月の生活費」 毎月の収入 収入:24万4580円(うち社会保障給付)21万8441円 毎月の支出 ・消費支出:25万959円 ・うち食料:7万2930円 ・うち住居:1万6827円 ・うち光熱・水道:2万2422円 ・うち交通・通信:3万729円 ・うち保健医療:1万6879円 ・非消費支出:3万1538円 支出合計28万2497円 ひと月あたりの収支:▲3万7916円 65歳以上・無職夫婦世帯のひと月あたりの家計収支は、約3万8000円の赤字となりました。 一般的には、赤字を補填するために貯蓄を取り崩すことになるでしょう。 なお、上記はあくまでも平均的なデータに基づくものです。これより赤字が大きい世帯もあるでしょう。 また、老後は毎月の生活費以外に、医療費の負担が増えたり、介護費用が発生したりなど、突発的な出費にも備えておく必要があります。 ギリギリ赤字を補える程度、ではなく不測の事態も考慮して老後資金を準備しておきたいものです。
将来資金の準備についてのご提案
冒頭で申し上げたとおり、65歳以上世帯の約4割が住民税非課税世帯となります。 65歳以上年金受給者の住民税非課税世帯となる所得額の基準が現役世代よりやや高く設定されている影響もあると考えられますが、年金月額を見ると実際に年金暮らしが厳しいものであることがわかります。 また、平均的な老後の家計収支は「毎月約4万円の赤字」。年換算すると約50万円です。 日本は長寿大国とも言われています。65歳~100歳の35年間を老後期間と仮定すると、老後は合計で1750万円が不足することになります。 数年前に話題になった「老後2000万円問題」に近い数字が算出されましたね。 ただし、相次ぐ物価の上昇や、年金受給額の減少、医療費や介護費用の負担増などにより、老後に必要な資金額は3000万円、4000万円と考える人も少なくありません。 現シニア世代の暮らしぶりを参考に、自分自身でしっかりと対策を練る必要がありますね。 老後生活にどれくらいの資金が必要になるかは人によって全く異なります。 必要な生活費や受給できる年金額も一人一人バラバラです。大切なことは「自分自身のケース」でしっかりと考えることです。 必要な生活費、受給できる年金額を把握することでおおまかな不足金額を計算することができます。 不足額がある程度イメージできたら、次はどうやってその不足額を埋めていくかを考えます。 着実に貯金をするのが安定的な手段である一方で、時間や金利などを味方につけながらお金を増やしていく「資産運用」も一つの選択肢です。 自分に合った手段を見つけ、老後に向けた準備をしていくようにしましょう。
参考資料
・厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」 ・厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」 ・厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」 ・総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」 ・総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」
荻野 樹