連続ドラマ『クラスメイトの女子、全員好きでした』木村昴(主演)×爪切男(原作者)対談「(役作りのために)今、体重が爪さんと一緒です」(木村)
──爪さんはいかがでした? 爪 ドラマになる、って聞いたら、このタイトルが、すっごい不安になってきて。 木村 そうなんですか? 爪 思いついた時は、なんていいタイトルなんだ、と自画自賛だったんですけど、ドラマとして多くの人の目に晒すってなると、これはよくないんじゃないか、と思い始めて。『クラスメイトの女子、全員好きでした』って、ヤバいこと言ってませんか? 嘘偽りのない正直な気持ちをタイトルにしたんですけど、捉え方によっては少し怖くないですか? 木村 なるほど(笑)。 爪 なので、主演が木村さんと聞いた時に、木村さんの持つ太陽のような明るさが、このタイトルが持つ闇ををキレイに浄化してくれるぞ、と(笑)。とてもうれしかったですね。 木村 光栄です。一話、ご覧になりました? 爪 ベルマークのあの女の子を演じる石井友奈さん、もうとにかくかわいかったですよね。 木村 はははは! ねえ? 爪 素朴さとにじみ出る色気をあわせ持ったステキな女の子だなと思いました。あと、あの学校からの帰り道がもう、ヤバかったですよね。絶妙なロケーションだなと思って。学生時代の純粋な気持ちを思い出しました。こういう何もない田舎道を一緒に歩きながら、隣で微笑む彼女を自然と好きになってたんだよなぁ、という。 木村 回想のシーンに入ってからの、中学生キャストたちのスゴさは......少年時代の枝松脛男を演じている及川(桃李)くんなんて、めちゃくちゃいいじゃないですか。僕ら大人チームとは撮影が別なので、できあがって初めて観るんですけど。 時々、撮影中に監督が言ってくださるんですよ、「今の、及川くんにそっくりだったわ」と。確かに、中学時代の回想シーンを見たら、自分でもリンクしていると思えるところがあったりして。
──僕も第一話を観たんですが、「爪切男はこんなにダメな奴じゃない!」「木村 昴はこんなにカッコ悪くない!」と思って(笑)。 爪 そうですか? 木村 でもそれは、ポジティブに捉えれば、お互い想像を超えたと言いますか(笑)。 爪 私、そんなにダメな奴に見えます? ──だって爪さん、盗作するような人じゃないし。フィクションですけど。 爪 それね、私のまわりのヤツら、盗作のところだけノンフィクションだと思っていて。 木村 あははは! 爪 「盗作か、最悪だな」と怒られました。そう思われる私、やっぱりダメなヤツですね(笑)。 ──木村さんはいかがですか? 枝松脛男という、カッコいいのとは真逆の役は。 木村 うーん、誤解を恐れずに言うと、カッコよくは誰でもできると言いますか......。カッコよく見せる方法って、あるので。でも僕としては、ちょっと腑抜けた部分があって、自分では今ひとつ決断できず、それでいて人見知りなのかデリカシーがないのかよくわからない......という枝松脛男のような人を演じる方が「どういう風にやろう?」っていうワクワクがあるので。「どうしたら枝松のダメダメ感を出せるかなあ」みたいなのは、考えましたね。 爪 あの、私は「エモい」という言葉があまり好きではない人間でして。それは「エモい」イコール「キモい」なので......。 木村 ほお! 爪 「エモい」って「感動的な...」っていう意味ですけど、それって他人から見るとただ「キモい」だけの時もある。恋をすると人は愚かになる。愚かだからこそピュアで美しい。「エモい」と「キモい」は常に表裏一体。そこを分からずに簡単に「エモい」と言わないでほしい。 それこそがこの作品の肝となる部分で、そこを、木村さんがうまく表現してくれているなと......。でも、宅急便の配達員役の加藤千尋さんの手を見て「脱毛しました?」って、私、絶対言わないですけどね(笑)。 木村 はははは! え、そうなんですか!? あれは実話ベースだろうなと思ってました。 爪 また、こういうとこだけノンフィクションだと思われてる(笑)。