<ガンダム>45周年の挑戦 「復讐のレクイエム」「銀灰の幻影」の新たな映像表現 小形尚弘Pインタビュー
◇最先端技術で進化してきた歴史
「銀灰の幻影」は、U.C.0096(宇宙世紀0096)が舞台の映像で、サンライズと「Gloomy Eyes」「Battlescar」などを手掛けてきたフランスのVR制作会社アトラスVが共同制作した。世界三大映画祭の一つの第81回ベネチア国際映画祭のエクステンデッドリアリティ(XR)部門のヴェネチア・イマーシブのコンペティション作品としてノミネートされたことも話題になった。「ガンダム」シリーズが、国際映画祭にノミネートされるのは初めて。
「VRはゲームのイメージが強く、映像作品はこれまであまりなかった。しかも、90分もある長編となると非常に珍しい。ゲーム、インタラクティブ要素の強い作品が多く、ベネチアでもストーリー中心の長編の作品はあまりありませんでした。『ガンダム』はシリーズや劇場を中心としながら、富士急ハイランドのGUNDAM THE RIDE、お台場のDOME-Gなどイマーシブな映像展開をやってきた歴史があり、最先端映像技術を取り入れながら、進化してきました。今回のVR作品もその一環で、まだ身近ではないかもしれませんが、今後の映像表現として必要になってくるはずなので、挑戦しました。モビルスーツのコックピットに座りたい、操作したい、格納庫に入りたいなどVRならではの表現も『ガンダム』とは相性が良いと考えています」
「復讐のレクイエム」のキャラクターはリアル寄りだが、「銀灰の幻影」は2Dのアニメに近い。
「スペックの都合もあり、VRに適した表現として、2D寄りにしました。(第1作のキャラクターデザインを手掛けた)安彦良和さんの流れをくんだ宇宙世紀のキャラクターを3Dで表現することは『ガンダム』シリーズの一つの課題でもありましたが、クリアできたところもあったのでは思っています。3Dだけではなく手描きも使いながら制作され、サンライズ、アトラスV、Metaで担務を分けながら作業……とフランス語、英語、日本語が入り交じった現場でした」