<ガンダム>45周年の挑戦 「復讐のレクイエム」「銀灰の幻影」の新たな映像表現 小形尚弘Pインタビュー
「Netflixさんで配信されるということで、多くの国と地域で同時配信されます。これまでの日本をメインターゲットとしつつ、そこから世界に広げるというやり方とは違います。グローバル展開は試行錯誤しているところで、リミテッドアニメから成長してきた日本のアニメが、世界で受け入れられているのは確かなのですが、グローバルに向け、ルックを含めて模索しているところです。2Dのアニメも海外のスタッフが入ってきていて、それが当たり前の時代になっています。クリエーティブを含めてグローバルに作ることにも挑戦しようとしました。海外のクリエーターが一年戦争をどう見ているのか? 戦争に対する目線が若干違うようにも感じています。海外でも『第08MS小隊』が人気で、その影響も大きいこともあり、山根公利さんにスーパーメカニカルバイザーとして入っていただいています。ガンダム的なメカの表現は抑えないといけないところなので、モビルスーツの表現、アクションは山根さんにご意見をいただきながら進めました」
日本のアニメが海外で浸透しつつあることは確かだが、まだリーチできていない層もいる。これまでのファンに楽しんでもらいつつ、さらに広くファンを開拓しようとした。そのための新たな映像表現でもある。「ガンダム」シリーズは、約20年前の2004年にも3DCGアニメ「機動戦士ガンダム MS IGLOO」を発表するなど、新しい映像表現に挑戦してきた歴史がある。配信の時代、最新技術だからできる“新たなガンダム”を作ろうとした。
「世界中には『ガンダム』を見ていない人たちがまだまだいます。そこに可能性を探っていこうと思いました。もちろんコアなファンの方に向けた要素もありますし、大事にしていますが、これまでとは違う方向性の映像にしようとしました。『ガンダム』にとって海外展開は、悲願でもあります。ハリウッドは、コロナやストの影響も大きく、大作を作りにくい状況になっています。日本のアニメが配信で見られている状況も含めて、日本のコンテンツには大きなチャンスがあります。『ガンダム』に関してはありがたいことに、日本とアジアには多くのファンがいますが、米国やヨーロッパに関してはまだまだ伸びしろがあります。50周年や現在企画中のハリウッド版実写映画に向けて、もっと多くの方に見ていただくことが使命だと思っています」